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志賀理江子:カナリア門
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 1月 17日

千愛子/Chiako《CANARY》
画像提供:三菱地所アルティアム
Copyright © Lieko Shiga

第33回 木村伊兵衛写真賞受賞の『CANARY』シリーズを九州初公開

被写体を捉える独自のアプローチと不思議な異空間を思わせる構成写真で、新たな写真表現を切り開く志賀。ロンドンにて写真家としてのスタートを踏み、 2008年に出版された写真集『Lilly』(アートビートパブリッシャーズ)と『CANARY』(赤々舎)の2冊で、写真界の芥川賞と称される第33回木村伊兵衛写真賞を受賞。以来、最も期待される写真家の一人として注目を集めています。

代表作『CANARY』は、仙台、オーストラリア、シンガポールで住民達に「自分の住む地域で感じる <明るい場所>と<暗い場所>はどこか?」という質問をアンケートを取って取材し、その答えの場所を実際に訪れ、思索に導かれて制作を行った作品シリーズです。地域・場所を知り、そこで感じた“イメージ”を自身の中で発酵させる時間を経て、自らの“イメージ”に基づいて被写体を舞台セットの様に構成し、撮影を行います。試行錯誤の末に生み出された『CANARY』シリーズの作品は、不思議な異空間のごとき世界観で見る者を魅了します。

また、『CANARY』で掴んだ“イメージ”をさらに確かなものにする為に『CANARY』収載の全点を、作家自らが撮影を振り返り文章によって追求を試みました。その文章と写真によって構成された作品集『カナリア門』(赤々舎)を2009年に出版。『CANARY』の制作に一貫している志賀の“イメージ”の追求、写真という表現で“イメージ”を写し取ることへの葛藤、制作の試行錯誤が綴られた『カナリア門』は、より深く『CANARY』の世界観を知る道標とも言えます。

本展では、『CANARY』シリーズより約60点の写真を九州初公開。また、作品集『カナリア門』で紡がれた文章を合わせて展示することで、深く志賀の追求する“イメージ”と制作の過程、撮影手法をふまえ鑑賞することが出来ます。さらに初の試みとして、映像作品も合わせて展示。部屋の両サイドをぐるりと囲む展示方法で、注目を集めた『六本木クロッシング2010展: 芸術は可能か?』(森美術館)や大判の作品を床置きで提示した愛知トリエンナーレなど、展示の空間構成にも独自のこだわりを見せる志賀。08年の写真集『CANARY』出版から現在に至るまで、写真に留まらず文章・映像と展開し熟考された空間構成でお楽しみ下さい。

志賀理江子 / Lieko Shiga
1980年、愛知県生まれ。 2004年にロンドン大学チェルシー・カレッジ・オブ・アートを卒業。その後もロンドンで制作を続け、06年よりベルリンに拠点を移した後帰国。 08年、写真集『Lilly』(アートビートパブリッシャーズ)、『CANARY』(赤々舎)で第33回木村伊兵衛賞を受賞。主な個展に「浮遊する出来事」(03年 グラフメディアジーエム/大阪)、「リリー」(05年 グラフメディアジーエム/大阪)など。09年にはNY ICPインフィニティアワード新人賞を受賞、2010年愛知トリエンナーレ参加。 現在は宮城県にアトリエを構え、滞在制作を続けている。
アーティストウェブサイト: http://www.liekoshiga.com

※全文提供: 三菱地所アルティアム


会期: 2011年2月19日(土)-2011年3月11日(金)
会場: 三菱地所アルティアム
オープニングレセプション: 2011年2月19日(土)18:00~20:00

最終更新 2011年 2月 19日
 

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