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土屋仁応:私的な神話
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 12月 20日

画像提供:メグミオギタギャラリー

土屋仁応は1977年に神奈川県に生まれ、東京芸術大学で彫刻を学び2007年同大学院にて保存修復彫刻研究分野の博士課程を終了し、伝統的な技法を踏まえて木彫作品を制作しています。古きものを学ぶことでより木彫の可能性と自由さを知り、近代彫刻の木彫らしさにしたがうことなく自由な表現で木の持つ魅力を最大限に引き出す作品を制作しています。 土屋の作品のもう一つの魅力は、そのモチーフにあります。現実に存在しながらもどこか浮き世ばなれした鹿、現実には存在しない伝説の生き物の麒麟、半人半馬など現実の存在の有無に関わらず同じように中間の領域で清冽な雰囲気を持っています。その作品たちはその形の美しさ以上に何かが宿っているような木の持つ霊性を最大限に引き出しておおり仏像彫刻に通ずるものがあります。

今展は「私的な神話」と題して神話をテーマにした作品を発表致します。 『「神話」とは、集団の起源や文化の創造の過程を、神聖なエピソードでいろどった物語です。歴史的事実とは別に神話が語り継がれるのは、集団が誇りや絆をもつために必要だからなのだと思います。このことは民族や国のような大きな集団だけでなく、個々人やプライベートな人間関係のなかでも同じように作用するのではないかと思うのです。』 土屋は風景・地形・気象など風土から受けた雰囲気を作品に与え、まるで木から生まれ出てきたような清々しく無垢な佇まいを持つ子鹿、麒麟、半人半馬、犬などを彫り起こします。

『空気のように目に見えないものを、人の心に届く形で表したい』という土屋の言葉の通り、その姿は現実を超えた世界の化身であるかのようです。こうして古くから蓄積されてきた文化や土着的なるものの脈流と高い技術力を受け継いだ土屋の作品は、私達のルーツを問いかける存在として新たな神話を生み出します。今展では画廊の広いスペースを最大限に活かした展示で、その強い存在感と質の高さで会場を「私的な神話」の世界に変えます。どうぞご期待下さい。

※全文提供: メグミオギタギャラリー


会期: 2011年1月18日(火)-2011年2月12日(土)
会場: メグミオギタギャラリー
レセプション: 2011年1月18日(火)17:30 - 19:30

最終更新 2011年 1月 18日
 

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