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早崎真奈美:Dear unexpected visitors
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 12月 14日

画像提供:ガーディアン・ガーデン|Copyright © Manami Hayasaki

空間と光を操る、切り絵インスタレーションの不可思議な世界

早崎真奈美は、切り絵を手法としたインスタレーションの作家として、ロンドンを中心に活動しています。第2回グラフィック「1_WALL」展では、ダーウィンの『種の起源』をもとに壁を立体的にとらえた実験的な作品を制作し、「コンセプトがしっかりした完成度の高い表現。デザイン性も高く『1_WALL』的」と評価を受けました。大学時代に京都で日本画を学んだ早崎は、しだいに現代美術やコンセプチュアルアートの自由な表現に惹かれはじめ、慣習や固定概念にとらわれない等身大のアートをもとめ、卒業後はロンドンでの制作に自身の可能性を賭けます。そしてこれまでにない刺激的な環境の中でさまざまなジャンルに挑戦し、とくに夢中になったのが幼少時から手掛けてきた切り絵でした。ナイフを用いた「切る」という制作行程は、精神統一であり快感だと早崎はいいます。そしてその刃先から生まれる驚くほどに繊細で美しい紙片はどこか不可思議なイマジネーションに溢れ、空間と光を操りながら、観る者を異次元の世界へと誘います。

さて日本で初個展となるこの展示では、自身の心象を「庭」という空間に喩え表現します。これまで生命論など普遍的な命題をテーマとしてきた早崎ですが、今回その関心は初めて自分自身に向けられました。ロンドンと日本、そして作品制作の間で揺れるin-between(どちらつかず)な私。 はたして自身と正面から対峙した早崎は、どのような景色をその庭に切りだすのでしょうか。

外国のお城にあるような豪華な庭園ではなく、
禅寺のまるで宇宙のような美しい庭でもなく、
一生懸命手入れしてもどんどん雑草が生えてきて、
バケツが転がっているような普通の庭は、
他人がちょっぴり覗き見できる、外側でもなく、内側でもない部分。
[In-between] 
いつも中途半端な私は他人に家の中を見せることを躊躇する。
部屋の窓にはカーテンをひいて、庭は花や草木で飾るのです。
扉を閉めても、塀のこっち側は、外から見えてしまうから。
-早崎真奈美

早崎真奈美 Manami Hayasaki
1980 大阪府生まれ
2003 京都市立芸術大学美術学部日本画科卒業
2007 チェルシーカレッジオブアート&デザイン BAファインアート卒業

個展
2009「 Innocent Garden」Long & Ryle(ロンドン)
2008「 Dream Helix」Long & Ryle(ロンドン)

グループ展
2010「 Rose-Eaters/ばらくい軍の兵士」刊行記念展(原画展) SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(東京)
2010「 遊芸三昧」展 国際奈良学セミナーハウス 旧世尊院(奈良)
2010 第2回 グラフィック「1_WALL」展 ガーディアン・ガーデン(東京)
2009「 Seeds of the Wild」展 The Puffin Room(ニューヨーク)
2008「 Material World」展 Barts Gallery(ロンドン)
2008 London Art Fair Project Space Business Design Centre(ロンドン)
2007 20 Hoxton Square Gallery(ロンドン)

受賞
2010 第2回グラフィック「1_WALL」グランプリ

※全文提供: ガーディアン・ガーデン


会期: 2011年1月17日(月)-2011年2月3日(木)
会場: ガーディアン・ガーデン
オープニングパーティー: 1月17日(月)18:30 - 20:00

最終更新 2011年 1月 17日
 

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