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森田浩彰:タイムクエイク
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 11月 26日

青田真也 参考図版|画像提供:青山|目黒

森田は1973年生まれ、2002年に英ゴールドスミスカレッジ大学院修了後帰国。現在、東京で制作活動をしております

一昨年の水戸芸術館「日常の喜び」、昨年から今年に掛けての滋賀ボーダレス・アートミュージアム「この世界とのつながりかた」で発表し現在でも評判の映像作品「 Clockwise 」はデジタル時計の表示を模して分刻みでスタジオにある工具や文房具が様々な動きを見せる、それが現実の時刻に同軌した24時間尺ものアニメーションでした。そこでは否応なしに人類に共通した単位であるはずの「1分」と言う時間の途方も無い連続が、色味や動き、音を交えて把握出来ないほどの膨大なバリエーションで綴られた傑作でした。

今展の「タイムクエイク : TIMEQUAKE」で森田は、昨年のKABEGIWAでの個展「LOCAL EARTHQUAKE」に引き続き、地震とそれにまつわる事象を素材として扱います。災害と言う圧倒的なこの明日も想像出来ないほどに覆われた救い難い状況から悲劇や破壊や喪失を取り除いていくと何が見えるのだろうか。その彼方に露になる単純にネガティブやポジティブでは分けられない、掃き溜めに咲いた花の様な成果を丹念に紡いで行きます。

本展では24本の蛍光灯を天吊りにした立体作品を中心に、地震と言う現象そのものとその後をイベントとして捉え、インスタレーションを構成します。

森田浩彰の弊廊では2度目になる個展をぜひこの機会にご高覧下さい。

全文提供: 青山|目黒


会期: 2011年1月8日(土)-2011年2月5日(土)
レセプション: 2011年1月8日(土)19 - 21 PM

最終更新 2011年 1月 08日
 

編集部ノート    執筆:田中みずき


青田真也 参考図版
画像提供:青山|目黒

    白い壁と高い天井、木で組まれた小屋のような造形物がある会場に入り、一見マニッシュに佇む展示作品をじっくり観ていくと、じわじわと「地震」に遭った感覚に陥っていく。
    表現手法は、インスタレーションやオブジェや映像作品など様々だ。しかし、どの作品にも森田独特の、そこはかとないユーモアや客観視の姿勢等が共通して見られる。展示されていた急に動きだす木の板のオブジェなどには、唐突さへの驚きや、飄々とした動きの可笑しみ、過去の体験へと繋がる恐怖など、様々な感情を呼び起こされた。ほかの作品も観賞していくと、次第に個々の作品が独立したものではなく、「地震」という現象を切り取った一部に見えてくるのも興味深い。
    1分程の映像を繋いで時計をモチーフにした作品に取組んできた森田だが、ある時、ある地点でしか体感されない地震も、時の流れに汲みするものなのかも知れない。


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