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百々俊二:大阪
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 11月 25日

画像提供:TOKIO OUT of PLACE
Copyright © Shunji Dodo

そろそろ自分が半世紀を生きた大阪をちゃんと撮らなければと思いながらも方法が見つからずにいました。
ここまでデジタルが進んでしまったからには、長年こだわり楽しんできたモノクロプリントで、8×10のカメラを据えて大阪の町にしっかり向き合ってみようと考えました。
そして、自分の記憶がある場所から撮っていこうと。記憶の大阪です。記憶と言ってももちろん写真では「いま」を撮る事しかできません。
こういう場所もあったなあ、と思い出しながら、場所の磁力に呼び寄せられる様に歩きました。

-百々 俊二 (写真集「大阪」あとがきから抜粋)

それはもはや、百々さんの〈わたし〉の記憶なのではない。かといって百々さんと無関係にあるものでもない。記憶のその場所にかつてあったもの、そして〈わたし〉の記憶から消し去られたらしいものを、百々さんにおいて恢復させるものでもあるだろう。
高架線路の下、高層ビルの下にも、お城の下、樹の下にも、河川敷や堤防にも、解体現場の隙間、墓場の傍らにも、ひとびとはいつく。ひとは空間を生きるというよりは、場所にいつく。百々さんはかれらにおのれの場所の記憶を明け渡すことによって、たんなる自由(リバティ)ではなく、「気前のよさ」という意味をたっぷり含み込んだ自由(リベラリティ)に浸ったのだと思う。

-鷲田清一(哲学者) 写真集「大阪」への寄稿文「場所の記憶を明け渡す」から抜粋

百々 俊二
1947年大阪府生まれ
九州産業大学写真学科卒業
1998より ビジュアルアーツ専門学校 大阪校 校長

個展
1978 「大阪・天王寺」(銀座、大阪ニコンサロン) 
1985 「新世界・むかしも今も」(銀座、大阪ニコンサロン) 
1992 「衆生遊楽・バンコク」(銀座、大阪ニコンサロン) 
1995 「楽土紀伊半島」(銀座、大阪、札幌ニコンサロン) 
1999 「千年楽土」(銀座、大阪ニコンサロン) 
2000 「千年楽土紀伊半島」(奈良市写真美術館)
2002 「.com New York」(銀座、大阪ニコンサロン)
2004 「沙羅双樹」(ビジュアルアーツギャラリー)
2006 「花母」(Gallery OUT of PLACE 奈良)
2007 『花母』+『vegetable』(gallery bauhaus 東京)
2007 「Ha-Ha」Focale Galerie  (スイス)

写真集
1971 写真集「地平」創刊(?'77第10号をもって休刊) 
1986 「新世界・むかしも今も」(長征社) 
1993 「HORIZON」Vol.1(共著)  
1994 「FACES OF HUMANITY 93/94」(共著) 

1995 「楽土紀伊半島」(ブレーンセンター) 2000 「千年楽土」(ブレーンセンター) 
2003 「沙羅双樹」(河瀬直美との共著/組画)
2006 『花母』ーははー(河瀬直美との共著/Gallery OUT of PLACE)
2009 「菜園+桜」VACUUM PRESS
2010 「大阪」青幻舎

受賞
1996 日本写真協会賞年度賞 「楽土紀伊半島」
1999 第24回伊奈信男賞「千年楽土」
2007 日本写真芸術学会 芸術賞

※またZEN FOTO Gallery (渋谷東口)において、百々俊二の写真作品(80年代の大阪新世界を撮ったシリーズ)を展示します: 百々俊二・井上青龍 写真展 「新世界-釜ヶ崎」

※全文提供: TOKIO OUT of PLACE


会期: 2010年11月26日(金)-2010年12月25日(土)

最終更新 2010年 11月 26日
 

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