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接触領域:Vol.5 青山悟
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 11月 08日

青山悟
Glitter Pieces #41(二科の土人たち), 2010
ポリエステルにメタリック糸と黒糸で刺繍 20×28cm
撮影:宮島径 
(c) AOYAMA Satoru Courtesy Mizuma Art Gallery

αMプロジェクト2010「複合回路」シリーズ展覧会第五弾。高橋瑞木によるキュレーションによる。

反発と共感の歯車  -高橋瑞木
青山龍水(1905~1998)、洋画家。絵を描くことがこの上ない喜びだった青年時代、彼は画家を夢見た。しかし寺の養子だったため、将来は僧侶になることが既に約束されていた。だが、画家への道を諦めることができず、育ての親に無断で東京芸術大学の前身である東京美術学校を受験し、合格。画家への一歩を踏み出す。第二次世界大戦中は従軍画家として戦地に赴き、風景画を制作。戦後は二科会会員として活躍。とりわけ愛らしい顔の少女が登場する作品群が「抒情的」と評価された。

青山悟(1973~)。現代美術家。幼いころから祖父が描いた洋画に囲まれた環境で育つ。高校からロンドンに渡り、90年代にダミアン・ハーストを始め、多くの現代美術家を輩出したロンドン大学ゴールドスミスカレッジに入学。テキスタイル学科に入り、女性の学生が大多数を占めるなかアジア人の男性というマイノリティとして、織物、編み物、刺繍を学ぶ。その後アメリカのシカゴに渡り、シカゴ美術館附属美術大学で修士をおさめる。2000年代初頭に工業用ミシンによる刺繍で友人や家族といった身近な人々のポートレートや、身の回りの風景を制作し、注目を浴びた。最近は社会主義者でありアーツ・アンド・クラフト運動の提唱者のウィリアム・モリスの言葉を引用しながら、高度資本主義社会における芸術の可能性を模索している。

戦争を境に心象風景を描くことに没頭した画壇所属の祖父。グローバル経済の危機の時代に芸術家の役割を問いかける、西洋で美術教育を受けた孫。異なる時間軸に正反対の道を歩むふたりが、芸術という共通項を合わせ鏡に対面するとき、反発と共感の歯車がゆっくりと回転を始める。

あおやま・さとる
1973年東京都生まれ。1998年 Goldsmiths College, University of London, BA Textiles, Visual Art Department。2001年The School of the Art Institute of Chicago, MFA Fiber and Material Study Department。足踏みの工業用ミシンを用いて、風景、イコン、メディアに流通するイメージなどを精巧に刺繍する。ファインアートと工芸、手工 業と機械工業、イマジネーションとアプロプリエーションといった二項対立の制度に自分の作品によって問いを投げかけながら作品を制作している。主な個展に2009年「Labour’s Lab (レイバーズ・ラボ) 」(府中市美術館・公開制作)、「Glitter Pieces #1-22:連鎖/表裏」(ミヅマアートギャラリー、東京)、2007年「Ancient Pixels」(シカゴ・カルチュアル・センター ミシガン・アヴェニュー・ギャラリー、シカゴ)、2004年「青山悟クリテリウム60」( 水戸芸術館、茨城)など。主なグループ展に2010年「六本木クロッシング2010展:芸術は可能か?」(森美術館、東京)、2009年「Twist and Shout」(Bangkok Art and Culture Centre、タイランド)、2006年「All look same. Art ChinaKoreaJapannext」(Fondazione Sandretto Re Rebaudengo(キュレーターFrancesco Bonami)、トリノ)など国内外で多数。

トークイベント 青山悟 x 眞島竜男(アーティスト)
日時:2010年12月18日(土)18時~
予約不要、参加無料
会場:gallery αM

全文提供: gallery αM


会期: 2010年11月18日(土)-2010年12月18日(土)11:00 - 19:00|日・月曜・祝日休廊
オープニングパーティー: 11月13日(土)18時~
アーティストトーク: 11月13日(土)17時~18時

最終更新 2010年 11月 18日
 

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