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赤塚祐二 展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 11月 04日

《another mountain 5》2010年|oil on canvas
画像提供:コバヤシ画廊|Copyright © Yuji Akatsuka

赤塚祐二の絵画作品は9cmの厚さの木枠に張られたキャンバスに油彩で描かれる大作です。

「画家は延々と繰り返し画面に触れる。極端に言ってしまえば、ただそのことによってのみ絵画は生まれる」という作家の方法論のもと、木枠キャンバスに絵具を塗り重ね、こすり、削り取り、何層にも積み重ねられていく表面がやがて、「絵画」を生み出します。
1992年に東京国立近代美術館で開催された「形象のはざまに」展で「これが絵画だ」と絶賛され、以後90年代を代表する画家として活躍してきました。有機的で特定の意味を想起させない形象を描いた90年代から、近年は、地平線や水平線、山、夜景、人物等の様に鑑賞者に自由にイメージできる作品も現れてきています。

今回の新作展はF300からF150号の大作3-4点と小品数点を展示予定。

作家コメント
とくに準備らしいことはせず、キャンバスにまず絵画をつけはじめることで絵画を制作してきた。なぜだろうと考えると、絵画制作の手順からの解放とそれ以前の制作方法からの反動があると思う。私は学生の時から版画をやってきたが、版画は版の制作のために下絵を分解する。これは絵画の基本的な構造を理解するのに大いに役立ったのだが、流動的に同時進行的に起こった画面上の出来事を、版を作るという行為の中で細かく分解してしまうのである。この分断は版画の大きな魅力だが、反面、連続した意思の流れのようなものはどうしても表し難くなる。私はもっとダイレクトで連続的な表現に心引かれていて、それが再び油絵を描こうとした時、いきなり描きはじめるという反動的な方法として出てきた。一方絵画は、世界を平面上に捉えるための方法論の歴史であるとも言える。それまでの油絵制作の乏しい経験から無謀にもいっきに大作を描こうと画策した時、ただ描くという身体の役割に没入することで、膨大な絵画の歴史性から距離をおこうとどこかで考えたのかもしれない。その時の気分で絵具を着け始め、キャンバスの上の出来事に身を添わせて考えはじめる。行き先を持たないこの方法は絵画の生成のために常にカオスに対峙することが迫られるが、その解決策の中に私の絵画が潜んでいると考えたのである。
-「絵画の現在」(鹿児島市立美術館で開催)に寄せた作家コメント

赤塚 祐二 Yuji AKATSUKA
1955  鹿児島県に生まれる
1979  東京芸術大学美術学部油画専攻卒業
1981  東京芸術大学大学院修士課程修了
現在 武蔵野美術大学教授

1981年よりコバヤシ画廊をはじめ個展多数、グル-プ展多数

パブリック・コレクション
東京国立近代美術館,東京・セゾン現代美術館,東京・横浜美術館,神奈川・東京オペラシティアートギャラリー,東京

※全文提供: コバヤシ画廊


会期: 2010年11月8日(月)-2010年11月27日(土)11:30 - 19:00(最終日17:00まで)|日休廊・祝日開廊

最終更新 2010年 11月 08日
 

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