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佐々木健 展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 11月 02日

《冷たい庭 / 隠れる池 R》2010年
ターポリンにアクリル 162×324 cm
画像提供:コバヤシ画廊|Copyright © Ken Sasaki

佐々木は、垂直方向、上下動ストロークのみを描画の所作としてフィックスし、その連鎖として画面のたたずまいを措定します。支持体には近年、ターポリンを採用し、そのものにあらかじめ存在している樹脂素材特有のなまめかしさと襞の布置が、ストロークの軌跡と絵具の重力移動によって現前する様を俯瞰します。Pitchとしての上下動、しかも構成する根拠を不可避的に排除したGroundlessなしぐさとしてのそれ。そしてしぐさの連鎖による、"むこうがわ"での出来事として湧き上がるかのごとき絵画は、見るものにフリーズされたイメージを呼び寄せます。ビニール素材のターポリンを支持体に、アクリルで描かれた大作3点と、小品を展示します。

作家コメント
「絵画の仕事、"GROUNDLESS PITCHI・拠り所無き上下の筆致" についての覚え書き」

さて、絵を描こうという時、絵画を描くことと見ることを合わせ持つ触媒としての作者の関数的経験は、名指しできないタイムラグの中で、濃度として感知できるだろう。その感覚が、描く者と見る者を、共に分裂させる。

分裂は、身体が自然であることとして要請される。そしてコントロールできないことの当然さを無理なく抱えるための、ペインティングという仕事。

絵画が、現実の中に多様に見え隠れする意味と、いつかどこかで拮抗する可能性を想像し、描くことなのか、いかなる行為なのか、はたまたいかなる観測なのか、模索し、把握し、名指しすることを試し続ける。

佐々木健
1968年、宮城県生まれ
宮城県美術館公開制作及び公開制作展(宮城県美術館、1994)。個展「見るものから見る者へ」(リアスアーク美術館、宮城、1995)。個展「新作 PAINTING展」(青城2ndギャラリー、宮城、1996)。 個展「GROUNDLESS PITCH」(WHAT'S ART GALLERY、宮城、1997)。境界/分裂/流動(ギャラリー青城、宮城、1997)。うぶすな展(東京都美術館、1998)。Exposition D'UBUSUNA (Cite International des Arts、パリ、2001)。リアス・アーク美術館10周年記念展(宮城、2004)。個展・GROUNDLESS PITCHシリーズ(コバヤシ画廊、東京、2002'03'04'05'06'07'08)。MESSAGE 2003(コバヤシ画廊、東京 、'04'05'06'07)。Scale-Out2006(ヒューモス スウィング、仙台)。Scale-Out2007(仙台卸町倉庫 creative space)。第8回ホルベインスカラシップ奨学者。他。

※全文提供: コバヤシ画廊


会期: 2010年11月1日(月)-2010年11月6日(土)11:30 - 19:00(最終日17:00まで)|日休廊・祝日開廊

最終更新 2010年 11月 01日
 

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