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飯田竜太:verbalizes ー出会えないから言葉でー
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 11月 01日

《Ornament of book/ After dark》2010年
画像提供:Takuro Someya Contemporary Art
Copyright © Ryuta Iida

飯田竜太は1981年静岡生まれ、青森在住の彫刻家。2004年に日本大学芸術学部美術科彫刻コース卒業。作家自身で古書や貴重本の収集を行い、それらを”彫る”事で作品を現してきました。2004年にグラフィック一坪展グランプリを受賞して以降も、graf media gmでの個展、岡本太郎現代芸術賞展や所沢ビエンナーレへの出展など着実に活動を続けてきました。2010年は、台北に新しくオープンしたギャラリーの PROJECT FULFILL ART SPACEでの三人展「手感的妙 PART1」への出展にはじまり、FUBON ART FOUNDATIONが台北市内で主催する大規模なアートフェスティバル「VERY FUN PARK」へ参加。その際は台湾最大のブックストアのEslite Bookstore と、アートブックやヴィンテージ製品を扱う専門店のVVG Somethingの2カ所で行った展示で注目を集めました。国内でも、Comme des GarsonとAi WeiweiのDMシリーズの一つに作品が採用され、またBOSE社の会報誌ではデザイナーの田中義久とのユニットNERHOLによる新作が表紙を飾るなど、アートとしてのポテンシャル高さが評価を得ています。

飯田は、人の記憶や意思が媒介された「書物」という関係性の現場へ、第三者として制作の行為を持って介在してみせることで、その先への到達を試みてきました。それは、創造と破壊を一つの動作に込めるという矛盾の繰り返しをエネルギーとする彫刻的アプローチが、対象となるモチーフを構成している関係性を開放し、その先に再構築されるであろう「作品」を見据えるという特性を同時に浮き彫りにしてみせています。私たちは、自身をとりまく環境が編纂と瓦解の振幅を加速させる中で、麻酔がかった感覚を持つ事も今日においてはしばしばかも知れません。その同じ時を、「彫刻」可能かどうか1ページ1ページを刻むことでハイライトし続ける飯田の鋭意が、等身大の私たちの姿にもオーバーラップするかもしれません。

今回の展覧会では、新作に加え国内未発表作品を展示いたします。飯田竜太の作品を象徴するシリーズともなっている「ornament of book」の新作も発表されます。とある場所の本棚に並ぶ、時を重ねた書物が作家の重ねた時間とクロスし、読む事のできない彫刻となって新たな意味を持ってまた別の方向へ時間を刻みはじめます。

「verbalizes ー出会えないから言葉でー」タイトルにも垣間見せるナラティブな感性にもご期待ください。

※全文提供: Takuro Someya Contemporary Art


会期: 2010年11月6日(土)-2010年12月4日(土)12:00 - 19:00|日・月・祝日休廊
レセプション: 2010年11月6日(土)18:00 - 20:00

最終更新 2010年 11月 06日
 

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