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倉俣史朗とエットレ・ソットサス
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 10月 21日

倉俣史朗《ミス・ブランチ》1988年|椅子|Photo: Hiroshi Iwasaki | 画像提供:21_21 DESIGN SIGHT

エットレ・ソットサス《カチナ》2005年-2010年 | Photo: Erik & Petra Hesmerg - Amsterdam, The Gallery Mourmans-Lanaken | 画像提供:21_21 DESIGN SIGHT

日本を代表するデザイナー 倉俣史朗(1934.11.29-1991.2.1)と、イタリアデザイン界の巨匠 エットレ・ソットサス(1917.9.14-2007.12.31)。二人の交流は、1981年、デザイン界に衝撃を与えた「メンフィス」(*1)プロジェクトをきっかけに始まりました。モダニズムに息苦しさを感じていた二人は、ソットサスは西欧的イデオロギーを背景に、倉俣は日本的感性をもって、デザインという言語で語り合い、夢を見、美を探求し、友情を育みながら、創造の可能性を探り続けました。表現の異なる二人ですが、ともに、機能性や利便性を超えて、生活に喜びと驚きをもたらすデザインを求めたのです。

本展では、倉俣史朗の1980年代以降の透明感に溢れた希少な作品65点と、ソットサスが最晩年に残した、多くの作家を触発したネイティブ・アメリカンのオブジェ「カチナ」が主題のドローイングをもとに新たに制作された世界初公開作品20点を紹介します。行きすぎた市場主義や物質社会の再考が求められる現在、デザインやものづくりの意味が大きく変わろうとしています。夢と愛に満ちた二人の仕事を通して、限りなく自由で生き生きとした「デザイン」に改めて出会う、新鮮な体験をお楽しみください。

4月27日(水)より、倉俣史朗の名作「ソラリス」(1977年、引出し)とエットレ・ソットサスの代表作「バレンタイン(オリベッティ)」(1969年、タイプライター)を1Fロビーに特別展示いたします。

(*1) 戦後の高度経済成長が一息ついた1980年、エットレ・ソットサスを中心に若手デザイナーや建築家によって結成された デザイングループ。1981年に第1回「メンフィス」展を開催、センセーションを呼び、その後80年代の建築・デザインに多大な影響を及ぼす。主なメンバーはミケーレ・デ・ルッキ、マッテオ・テュン、マルコ・ザニーニ、日本からは梅田正徳、倉俣史朗が参加。

倉俣史朗
1934年~91年。東京生まれ。56年桑沢リビングデザイン科卒業。三愛宣伝課、松屋インテリアデザイン室を経て、65年にクラマタデザイン事務所を設立。西武百貨店カプセルコーナーをはじめ数多くの家具、商業空間を手がける。81年エットレ・ソットサスの誘いでメンフィス参加、89年パリにて個展を開き海外でも高い評価を得る。毎日産業デザイン賞、フランス文化省芸術文化勲章受章。無重力、浮遊感を独特な感性によって表現した作品はデザイン界に衝撃を与えた。代表作に「ミス・ブランチ」、「グラスチェア」、「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」などの家具、インテリアデザインでは、ISSEY MIYAKEのブティックをはじめ商業施設を多く手掛けた。没後、96年原美術館での「倉俣史朗の世界」展は世界7都市を巡回した。

エットレ・ソットサス
1917年〜2007年。オーストリア、インスブルック生まれ。トリノ工科大学建築科卒業。20世紀を代表するデザイン界の巨匠の一人。多くのイタリア人デザイナーと同様、建築を基礎に、家具、工業デザインは勿論、雑誌編集、メンフィスなどのプロジェクトのプロデュース、思想家としても同時代のデザインに大きな影響を及ぼす。また、ガラスや陶器のアートピース制作にも情熱を傾ける。代表作は、オリベッティ社のタイプライター「バレンタイン」、アレッシ社のテーブルウェア、ウルフ邸、ムルマン邸などの建築作品など。03年フランス藝術文化勲章コマンドゥール受章、05年文化芸術功労者「金メダル」賞(イタリア共和国大統領)受賞。

全文提供: 21_21 DESIGN SIGHT


会期: 2011年2月2日(水)-2011年7月18日(月・祝)

最終更新 2011年 2月 02日
 

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