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河地貢士:a HOSPICE
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2010年 10月 17日

《まんが農業》2009年|画像提供:studio J

うまい棒、ポテトチップス、ベビースター、カール。スナック菓子を素材にステイニング絵画、棒状のコーン菓子に円空風の仏を彫った『うまい仏』、割れたポテトチップスを金継ぎした『金継ぎポテチ』など、美術(史)のもつ重厚さ、理屈さを笑うような作品たちが展覧される。

だが、その味はスナック菓子のように軽いとも言えるが、尾を引くうまさもある。素材は安価だが、コンセプトや技巧は一癖ある味と言えよう。今展では少し気合いが入りすぎたか、バラエティ豊かな作品がギャラリー空間に所狭しと並んでいる。スナック菓子はまた食べたいと思うぐらいの少なさがいいのではないか。とはいえ、河地を初めて知る人には、代表的シリーズをひと通り見ることができるホスピタリティ溢れる展示である。

また、硬貨が人肌に温まっている『体温』(2010)は硬貨が持つ冷たさを温かいユーモアとして提示した秀逸な作品だ。ここでも河地はスナック菓子と同じく1円玉や5円玉などの安価なものにまなざしを注ぐ。このシリーズとスナックシリーズは別に展示してもよかったかもしれない。

食欲の秋。英語で「Snack」とはおやつ、おつまみ、軽食という意味だが、おやつを食べる気持ちでギャラリーを訪れてみてはどうだろうか。

最終更新 2015年 10月 31日
 

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