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小川直樹 展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 10月 13日

画像提供:Oギャラリーeyes
Copyright © Naoki Ogawa/O Gallery eyes

作家コメント [Artist Statement]
様々な媒体を通じて情報が流通し共有する環境下で、私達の意識から垣間見える世界の捉え方も均質的な方向に偏りがちです。
認識可能な“存在”を限定的な枠組み(先入観やイメージのみ)で捉え、その存在が有する奥行きや本質さえも省かれてしまっているのではないかという可能性、そこに危機感を覚えます。
そのような中、身体的にこの世界と向き合う瞬間/出来事を体感し、強く意識する事はとても価値のある行為だと思います。
私は、自身の在り方や存在している場所を意識する際、子供の頃に一人で山や森に入っていく時の印象・記憶が、強い現実感を伴って想起されます。
また、その様な身体的記憶は日常の些細な事から引き出される事もあります。
深夜に日暮の鳴き声が幽かに聞こえ、それは機械音か何かがそのように聞こえたのだと思いますが、その音が私の意識にだんだん沈み込んで来て、子供の頃の夏の印象とリンクしました。私の実家は平野部と山々の境にあって、夏には夕刻の影を落とし始めた暗い山から聞こえてくる無数の蝉の声によって、自分が暮らす場所とは違う深淵の世界を垣間見た様な気になりぞっとする事がありました。その様な感覚は、日々の生活の反復により、人間の社会に埋没していく意識を中間的な位置に引き戻してくれるように思います。

私の作品は、生の経験や感覚を頼りに、既成の輪郭から解放された状態だと捉えた場面・印象を描くこと、感覚的に関連を感じるモチーフを印刷物の図像やネット上のイメージに求め、自身を経る事により限定される以前の解放されたものとして描くというアプローチを行っています。
フィクションではない、あくまで根底には現実性が感じられるものを描くため、視覚・記憶・情報・身体的経験や現代の仮想的な世界観、この多角的な要素と向き合い均衡を保たせる事が重要であると感じています。
私たちの意識からこぼれていく存在の本質を捉えなおす事で、より豊かな世界観を見出し、観賞者が新たな世界像の一端を体感できるような表現を求めて行きたいと思います。

小川直樹
1984 島根県生まれ
2007 成安造形大学造形学部造形美術科洋画クラス卒業
2008 成安造形大学造形学部造形美術科洋画クラス研究生修了

個展
2008  Оギャラリーeyes(大阪)
2009  Оギャラリーeyes(大阪)

グループ展
2005 ART & CRITIC(成安造形大学ギャラリー/アートサイト・滋賀)
2007 PIECES(海岸通りギャラリーCASO・大阪)
2010  シェル美術賞2010(代官山ヒルサイドフォーラム・東京)

※全文提供: Oギャラリーeyes


会期: 2010年10月18日(月)-2010年10月23日(土)

最終更新 2010年 10月 18日
 

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