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橋本トモコ+湯川雅紀
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 9月 30日

橋本トモコ《Loop and Change - Spring》2010年
145.5 x 145.5 cm|パネル、綿布、白亜地、油彩

湯川雅紀《Untitled》2010年
24.5 x 39 cm(5 x 12 cmのパネル12枚組)|パネルにアクリル

絵画の平面性・抽象性を高い技術と緻密な展示形式によって作品世界を展開させてきた橋本トモコ(1969年生まれ)と湯川雅紀(1966年生まれ)による2人展が東京・銀座のGALLERY TERASHITAで開催される。両者の絵画への探求は、橋本が2009年にVOCA展出品、湯川が1998年にVOCA賞を受賞し、高い評価を受けている。

橋本の絵画はリンゴやイチゴ、現在ではツバキなどの花や植物をモチーフとし、古典的な油彩技法によって丹念に描かれる。絵の前に立つと、色彩の深みと艶に目が吸い込まれ、空間に豊かな時間が流れ出す。シェイプトキャンバスによる展示では、壁面の余白を取り込み、スケールのある絵画空間が生まれ、深い余韻を残すだろう。そう、橋本の絵画は鑑賞者の中で「開花」する。花や植物の生育が土地や環境によって変化するように、橋本の絵画は柔軟に、そして繊細に会場を光と色彩で満たすのだ。

湯川は複数の楕円や円形が揺らぎのある線と組み合わさる絵画を制作してきた。抽象画に見えながら、そのモチーフは図鑑で見たミミズの内臓だという。その後、画面内には格子が挿入され、今夏行われた第一生命ギャラリーとコバヤシ画廊の個展では、格子は画面外へと移動する。作品は規則的に間隔を空けて格子状に展示され「そこにありながら見えない」イメージの広がりを提示した。

このように両者は絵画制作だけでなく、展示する空間にも意識を向け、絵画を見ること、絵画が存在することを空間内において表現してきたと言えるだろう。現代絵画において高い技術と展示意識を持つ2人は、今展でどのような展示空間を作り上げるのか。私たちにできることは空間にこの身を置くだけでいい。そこには豊饒な絵画空間が私たちを待っていることだろう。
-平田剛志

橋本トモコ
1969 千葉に生まれる
1996 多摩美術大学大学院美術研究科修了
2002 第17回ホルベイン・スカラシップ奨学生
2003 第6回資生堂ADSP選出

個展
2008 亀山画廊/静岡
2006 藍画廊/東京、Bunkamura GALLERY+ /東京、Bunkamura Arts & Crafts /東京
2004 ギャラリー山口/東京
2003 なびす画廊/東京
2001 GINZA SQUARE MUSEUM(銀座文具)/東京
1999 富士銀行ストリートギャラリー(富士銀行数寄屋橋支店)/東京、なびす画廊/東京
1997 オレゴンムーンギャラリー/東京
1995 ギャラリー現/東京

主なグループ展
2010 はないばら -秘められた美へ-  主催:千葉市美術館,千葉大学、千葉市民ギャラリー・いなげ, 旧神谷伝兵衛別荘/千葉
2009 VOCA展2009 上野の森美術館/東京、絵画 花-blossom 青木惠・橋本トモコ・久米亮子 ギャラリー山口/東京、KOMAZAWA MUSEUM X ART 駒沢公園ハウジングギャラリー/東京
2007 第7回前田寛治大賞展 日本橋髙島屋/東京、倉吉博物館/鳥取
2006 第25回損保ジャパン美術財団 選抜奨励展 損保ジャパン東郷青児美術館/東京
2005 ふなばし現代美術交流展’05「物語が生まれる所」 船橋市民ギャラリー/千葉
2003 アミューズランド2004「ガリバー美術探検記」 北海道立近代美術館
1995 第2回別府現代絵画展 別府市美術館/大分
1994 第23回現代日本美術展 東京都美術館、京都市美術館

湯川雅紀(Masaki Yukawa)
1966 和歌山県生まれ
1989 和歌山大学教育学部卒業
1991 大阪教育大学大学院美術教育研究科修了
1996 ドイツ国立デュッセルドルフ芸術大学芸術学科修了、在ドイツ・ヴッパータールおよび和歌山

個展(抜粋)
2010 コバヤシ画廊(東京)、第一生命南ギャラリー(東京)《2004および2000》
2009 ギャラリー・レスマン&レンザー・コンテンポラリー(アシャッフェンブルク、ドイツ)
2006 ギャラリー・レスマン&レンザー(ロートガウ、ドイツ)《2002および1997》、カスヤの森現代美術館(横須賀、神奈川)《2001》
2002 シュヴェルム芸術協会(シュヴェルム、ドイツ)、ブリュール芸術協会(ブリュール、ドイツ)
2000 ギャラリー・ヴァイセス・ハウス(ヴッパータール、ドイツ)

グループ展(抜粋)
2010 「ゲンダイビジュツ道」 練馬区立美術館(東京)
2009 「Spur des Raumes」シュトルベルク城ギャラリー(シュトルベルク、ドイツ)
2007 「賛美小舎上田コレクション展―それでも人は、『境界』を越える。―」 練馬区立美術館(東京)
2006 「いまいるところ/いまあるわたし」 宇都宮美術館(宇都宮、栃木)
2005 「Volker Saul / Masaki Yukawa」ケルン日本文化会館(ケルン、ドイツ)
2004 「VOCA1994 – 2003 -10年の受賞作品展-」 大原美術館(倉敷、岡山)、「ポーラ新鋭展2004―形の探求―」 ポーラ・ミュージアム・アネックス(東京)
2000 「Kunst in der Kammer」 フランクフルト証券取引所(フランクフルト、ドイツ)
1999 「Japandorf」 トゥーン美術館(トゥーン、スイス)
1998  「VOCA展 ’98 ―現代美術の展望 新しい平面の作家達―」 上野の森美術館(東京)

受賞
2008 海南市文化奨励賞(海南、和歌山)
1998 「VOCA展 ‘98」VOCA賞 上野の森美術館(東京)


会期: 2010年10月12日(火)-2010年11月5日(金)

最終更新 2010年 10月 12日
 

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