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マン・レイと宮脇愛子展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 9月 26日

《宮脇愛子 Utsurohi 1959~1989》サイン入りポスター
画像提供:ときの忘れもの|Copyright © Aiko Miyayaki

東京の国立新美術館での展示が終了し、次いで大阪の国立国際美術館で開催されるマン・レイの大規模な回顧展には、親交の厚かった「宮脇愛子」の小コーナーが設けられ、マン・レイが撮影した宮脇のポートレートと、宮脇の油彩小品が展示されています。

1959年、パリのフェルー通りにあるマン・レイとジュリエット夫人が暮らすアトリエの小さなドアを宮脇愛子が開けたときから彼らの交流は始まりました。そのアトリエにはダダイスト・マン・レイの作品がいたるところにあり、そこに毎日のように通ううち、宮脇は自然とマン・レイの薫陶を受けることになります。

マン・レイ自身は、ウィットに富んだ少年が、ただ大きくなったといった感じで、どこまでも偉大な芸術家風ではありませんでした。日常的な何でもない毎日の生活が、すべて創造であるような、そんな毎日を送っていた人でした。
(宮脇愛子著『はじめもなく終わりもない-ある彫刻家の軌跡』〈岩波書店刊〉より)

62年、マン・レイは、唐突に宮脇にポートレートの撮影を申し出ます。それはもしかすると彼の最後のポートレート撮影であったかもしれません。本展ではマン・レイ撮影のポートレートのヴィンテージプリントをはじめ、宮脇のために制作したオブジェ作品を含むマン・レイコレクションと、当時の宮脇愛子の油彩作品他をご覧いただきます。

他にも、磯崎新撮影によるマン・レイのアトリエでの貴重な写真や手紙、ジュリエット夫人からの書簡、マン・レイから宮脇に贈られた夥しいカタログ、書籍、案内状などの一部も展示し、二人の交流の軌跡をたどります。

なお、この展覧会のために、宮脇愛子のシルクスクリーン入り小冊子『Hommage a Man Ray マン・レイへのオマージュ』を限定発行します。また今回、1989年に磯崎新がマン・レイへのオマージュをこめてデザインした宮脇愛子オリジナル・ポスターを特別出品します。

●10月1日(金)17時~18時半に、宮脇愛子さんを囲んでレセプションを開催します。
●10月16日(土)17時~18時に、巖谷國士さんを講師にお迎えしてギャラリートークを開催します。※要予約(参加費1,000円)

宮脇愛子 Aiko MIYAWAKI
1929年東京生まれ。1952年日本女子大学文学部史学科卒業。阿部展也、斎藤義重に師事。1957-66年欧米各地に滞在し、制作活動を行なう。真鍮、石、ガラスを用いた立体作品のほか油彩や墨絵を制作。代表的な彫刻作品《うつろひ》は、モンジュイック・オリンピック広場(バルセロナ)、ラ・デファンス(パリ)、奈義町現代美術館など世界各地にコレクションされている。1998年神奈川県立近代美術館で回顧展、国内外で個展を多数開催。宮脇のシルクスクリーンや銅版画からは繊細で静かな華やかさが漂う。マン・レイが撮影したモナリザのポーズの若き日の宮脇の肖像写真は、夫君の磯崎新のデザインでシルクスクリーンのポスターにもなった。しなやかな金属ワイヤーによる〈うつろい〉がもたらす軽やかで爽やかな空間のゆらぎは、宮脇の独創で、自然と人間の感性が共鳴する新たな現代美術の可能性を人々に訴えかけている。

全文提供: ときの忘れもの


会期: 2010年9月28日(火)-2010年10月16日(土)

最終更新 2010年 9月 28日
 

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