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関直美 展
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Published: September 12 2010
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画像提供:ギャラリーKINGYO

思いつくままに①から③ 関直美

久しぶりに木を材料とした作品をつくろうと、早速友人に電話をした。
彼は林業を営んでいる。
5月初旬、森の中を彼の案内で歩き、木を選定した。ハンノキ。
チェーンソーも彼に選んでもらい、新品を手に入れた。オイルもガソリンもついでに頼み。という彼任せの準備。
川崎から長野県大町市海の口まで5時間の距離、何回か往復した。
しばらく誰も使っていない山小屋で、これまた久しぶりにシュラフにくるまった。
何台目のチェーンソーになるだろうか。アイルランドに置いてきたもの、友達にあげたもの、壊したもの。再びチェーンソーが手元に。
あのガソリンの匂いがいいのである。バイクのようなエンジン音がいいのである。
すっかり忘れていた。
適当にカットした木材は今アトリエにある。雑用に追われその木をいじれない、じれったい日が過ぎている。


1990年から何人かでシェアしている作品保管倉庫の整理に通う。山梨県小菅村。
だんだん一杯になってきた時、好意でお借りしているのでこれはまずいな、と2000年以降の作品は他の場所に持って行くことにしてその倉庫を私だけは遠慮してきた。
2005年に、一度だけ作品を取りに行ったことがあった。
まあ、重たい作品を作っていたものだ、あきれかえる。あの当時恩師に捨てるなと言われ残してきたが、もはや時代は変わった。
整理していると、ひとつひとつどうしてこのような作品を作ったのかふつふつと蘇ってくる。評価されたものもある。評価されなかったものも。
でも評価って、何だ?


木を材料とした屋外作品で、見積もりが合わなくて張りぼての作品を作った。いくら張りぼての作品が市民権を得てきた、といっても私にとっては違うな、という出来栄えであった。これがきっかけで、ここ何年かむきになって異素材に関わった。
それは遠回りだったかもしれない、無駄だったかもしれない。が、それが私。
再び木。チェーンソー。リセットか、新しいスタート、か。
森に入り高い木立の下、ヒトは、私の場合はたった1.6メートルの背丈である。
謙虚でありたい。

(関直美)

木の仕事で定評のあった関さんですが、この何年か異素材に関わって来ました。和紙の仕事 ビニール素材の仕事 また身体表現とのコラボレーションなど、それぞれに魅力のある物でしたが、観客としては、もう一度、見たかった木の仕事に期待が膨らみます。

※全文提供: ギャラリーKINGYO


会期: 2010年11月9日(火)-2010年11月21日(日)

Last Updated on November 09 2010
 

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