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河地貢士:a HOSPICE
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 9月 08日

《まんが農業》2009年|画像提供:studio J

河地貢士(Koshi Kawachi)は近年、作品の素材としてスナック菓子を多用しています。一例を挙げると、棒状になったコーン菓子に仏を彫り「うまい仏」と命名したり、またポテトチップスに金継ぎを施すなど、あえて安価な食材に手をかけることにより、それらをアートの領域まで高めています。

また漫画本を土台にカイワレを栽培するなど、万人にも分かりやすい形でユーモア溢れるアートを提示することにより、海外での評価も高まりつつあります。

出展作品として、うまい仏、Embalming ~Baby Star(エンバーミング~ベビースター)、 Embalming ~Potato Chip(エンバーミング~ポテトチップス((金継ぎポテチ))、 Top of the world(ポテ拓)、虹色 おねしょ(写真)、まんが農業(栽培セット)、その他 新作やドローイングなどを発表します。

関東を中心に活動を行なっている河地にとっては、studioJでの発表は関西初となります。 また、河地の作品は皆様に楽しんでいただけるものと思います。

作家コメント
無私の献身と歓待を意味するホスピタリティ。
その場としての「ホスピス」。
日本で最初にホスピスが出来たこの大阪で、「a HOSPICE」をつくろうと思う。
-河地貢士

※全文提供: studio J


会期: 2010年9月18日(土)-2010年10月23日(土)

最終更新 2010年 9月 18日
 

編集部ノート    執筆:平田 剛志


《まんが農業》2009年|画像提供:studio J

うまい棒、ポテトチップス、ベビースター、カール。スナック菓子を素材にステイニング絵画、棒状のコーン菓子に円空風の仏を彫った『うまい仏』、割れたポテトチップスを金継ぎした『金継ぎポテチ』など、美術(史)のもつ重厚さ、理屈さを笑うような作品たちが展覧される。

だが、その味はスナック菓子のように軽いとも言えるが、尾を引くうまさもある。素材は安価だが、コンセプトや技巧は一癖ある味と言えよう。今展では少し気合いが入りすぎたか、バラエティ豊かな作品がギャラリー空間に所狭しと並んでいる。スナック菓子はまた食べたいと思うぐらいの少なさがいいのではないか。とはいえ、河地を初めて知る人には、代表的シリーズをひと通り見ることができるホスピタリティ溢れる展示である。

また、硬貨が人肌に温まっている『体温』(2010)は硬貨が持つ冷たさを温かいユーモアとして提示した秀逸な作品だ。ここでも河地はスナック菓子と同じく1円玉や5円玉などの安価なものにまなざしを注ぐ。このシリーズとスナックシリーズは別に展示してもよかったかもしれない。

食欲の秋。英語で「Snack」とはおやつ、おつまみ、軽食という意味だが、おやつを食べる気持ちでギャラリーを訪れてみてはどうだろうか。


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