ブラジルイラストレーテッド 2010 反対側 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2010年 8月 29日 |
ブラジル人作家、エドゥアルド・レシフェ、ヴァグネル・ピント、ブルーノ・クルーの3人によるグループ展。全員20代の、ブラジリアンアートの新時代を築くであろうこの3名は、昨年英国の「ロンドン・デザイン・フェスティバル(キュレーター:Joao Guarantani)」に参加したことで、多くのメディアにとりあげられ彼らの作品が雑誌の表紙をかざるなど、大変好評を博しました。本展は「ロンドン・デザイン・フェスティバル」からつづく3人展ですが、英国での展覧会の巡回ではなく、3名が来日し、新作を制作・発表します。 人間的で、かつ洗練された感受性を作品に吹き込み、非人間的状況に対する痛烈な批判を驚くほど穏やかな形で呈示して内省をうながすエドゥアルド・レシフェの作品は、自分の周囲、とりわけ都市の風景の中で営まれる生活の退廃に対する認識を、ときには殴り書きにも思えるドローイングで表現しています。その作品はとても知覚的、触覚的であり、一見不思議にもみえる装飾やレイアウトは、作家が観客の注意をありふれた日常の彼方へ惹きつけようとしているようです。 集団トランスの喧噪と熱狂的な精神性が満ち溢れたかのような空間を作り出すヴァグネル・ピントは、アフロ・ブラジリアン宗教やサントダイミ(キリスト教、インディオのシャーマニズム等が習合した宗教)の偶像、森の神話的シンボルからインスピレーションを受けた作品を数多く発表しています。 十字架、王冠、動物の毛皮、ピラミッド、翼、太陽、ネックレス、旗、刀剣などそれぞれ異なる宗教的な事象をサイケデリックかつ燃えるような色彩の中に共存させ、不可視のエネルギー、そして世界を表現しています。 ブルーノ・クルーの作品の特徴は、絵をとりまく環境について徹底的に調べつくすことです。何を、いかに為すべきかとの自問、そして素材の選択をめぐる議論に始まり、並置とコラージュが必須要素である創作工程の刷新をピークとする一連の作業を伴います。 25歳のクルーは、創造の意義をめぐる永続的探求と自己認識の深化を通じ、「場」のあり方について絶えず考察しています。ラインや素材を用いた絵画の要素と場の関係性を強く意識した彼の作品は、展示環境に対する回答として常に人々に新鮮な驚きをもたらします。 多民族国家であり、広大な土地で豊穣で多彩な自然と文化と生命力をあわせもつブラジルの、若い作家たちがまきおこす新しい風を是非感じていただきたいと思います。 エドゥアルド・レシフェ(Eduardo Recife 展覧会 ヴァグネル・ピント(Wagner Pinto) 展覧会 ブルーノ・クルー(Bruno Kurru) 展覧会 会期: 2010年9月25日(土)-2010年10月8日(金) |
最終更新 2010年 8月 07日 |