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平間貴大 展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 8月 20日

画像提供:loop-line|Copyright © Takahiro Hirama

『反即興演奏としてのマラン・メルセンヌ+ジャン=ジャック・ルソー』『10年遅れた方法音楽としてのマラン・メルセンヌ+ジャン=ジャック・ルソー』同時開催展。

平間貴大
1983年生まれ
2006年 即興音楽43枚組CD-R「Recordingのおまけ」リリース
07年3月 カオリ座で写真展「それを覆う持続」
07年10月 即興音楽としてのフィールドレコーディング109枚組CD-R「109」リリース
08年1月 齋藤祐平が1ケ月間運営したギャラリー「場所と出来事」で個展「曖昧な部屋」
08年6月 音楽レーベルencadreから「thr eat rhythm」リリース
08年8月 CD-R音楽作品「ライブハウスを爆破せよ」リリース
08年11月よりweb上で音楽作品を発表
10年5月 『improvised music from Japan 2009』祭出演
10年5月 よりtwitterで絵画作品を発表している。直嶋岳史との音楽ユニット”人数”、齋藤祐平、asaと"Night TV"で活動中


会期: 2010年8月18日(水)-2010年8月23日(月)

最終更新 2010年 8月 18日
 

編集部ノート    執筆:石井香絵


ドレミファソラシは五線譜ではなく1234567と横並びの数字で表され、5040通りの七桁の数字が楽譜として壁に貼られている。会場では実際に演奏された曲も流れているが、一つの音の長さが等しく一秒であるため全ての曲を聴き終えるには9.8時間かかる。この展示タイトルは、演奏のもとになっている音列が17世紀の数学者マラン・メルセンヌが確立した音符の順列のみで作曲するという方法であること、数字による記譜法が18世紀の思想家ジャン=ジャック・ルソーの考案であることによる。そして本展は2000年に提唱された、偶然性や即興性を限りなく排除した方法音楽の主義を純粋に追求した試みであることから、「10年遅れた方法音楽」と題されている。しかし「10年遅れた」と称しながらも本展が開催されたということは、主義としては既に存在していた方法音楽が、作曲の段階においては未だに完成していなかったことを物語っている。展示/演奏されている曲は作者の恣意が無効な条件下で作られたため、必然的に七つの音が5040通り全パターンの順列で並ぶ膨大なものとなる。来場者は数字の記譜を前に抑揚のない音の並びを延々と耳にすることになるが、没個性的な空間に身を置くことに意外と違和感は無く、ワンドリンクを注文すればいつまでも居続けたい気持ちになる。


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