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木村真由美:反復の美学
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 7月 09日

《カラI.P.09 ヤマワラフ》2010年
シルクスクリーン、和紙、鉄粉 91.0×60.6cm
画像提供:画廊翠巒|Copyright © Mayumi Kimura

木村真由美が表出させる画面には、4点から引っ張られた歪んだ4平面に同じ大きさの丸が,ある一定の間隔で連続して並ぶ。大きさや支持体としての四角い形、色彩は違っていても、この反復はここ数年間ずっと繰り返されている。その形体には無数の色が何層にも塗り重ねられ、塗り残された箇所から見える色彩の重なりは、不思議な抒情性や偶然性によるうつろいのような日本的なはかなささえも表出させる。一見、ミニマル的でありながら、装飾的とも説明的とも言えなくはないその画面は、日本人の持つ独特なわびさびにも似た単純でありながら、奥の深い説明し難い「味」とも言うべき感覚にとても近い感情を呼び覚ます。今回の個展にあたり、作家は以下のようなコメントを寄せている。

最近は、今まで日々の忙殺の中で置き去りにしてきてしまった事をもう一度拾い上げて、それをひとつひとつ味わうように制作ができるようになったと思います。それは、時間を過去から未来に向かって一直線に進む流れを想定するのではなく、それとは逆に、現在から過去に遡行しながら、そのつどの「分岐点」をチェックして、「どうしてこの出来事は起こらなかったのだろう?」というふうに考えてみる事と似ています。そうする事によって、ただ一本道で続いているのだけではなく、無数の選択の可能性のある未来が見えてくるではないかと思われるのです。
木村真由美

木村 真由美  KIMURA Mayumi
1973 群馬県に生まれる1997 武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画コース卒業
1999 武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻版画コース修了

[個展]
2001   ギャラリー山口・東京
2004   画廊翠巒・群馬
Gallery FAL 武蔵野美術大学・東京
ギャラリー山口・東京、岡部版画出版show room  korino・東京、画廊翠巒・群馬
2008   ギャラリーゆう・岐阜
2009   柳沢画廊・埼玉
2010  画廊翠巒・群馬(7月予定)

[グループ展]
1999   「“Lines of Sight/Site”武蔵野美術大学・アルバータ大学版画交換展」、武蔵野美術大学美術資料図書館・東京(他巡回)、「第1回山本鼎版画大賞展」上田創造館・長野
2000   「イビザビエンナーレ2000展」スペイン
2002   「第2回山本鼎版画大賞展」上田創造館・長野
2003   「open studio 未来工房」未来工房・東京、「わたしの風景」art space kimura ASK? ・東京、「第11回中華民国国際版画展」台北市美術館・台湾、「ふくみつ棟方記念版画大賞展」福光美術館・富山、「あおもり版画トリエンナーレ2004」青森市民美術展示室・青森
2005   「open atelier vol.02 未来工房」未来工房他・東京、「open studio ver.3.0」未来工房他・東京、「第1回NBCシルクスクリーン版画ビエンナーレ展」準大賞 美術家連盟画廊・東京
「第1回NBCシルクスクリーン版画ビエンナーレ展受賞者展」ギャラリーゴトウ・東京
2009  「open studio 4」未来工房他・東京
2010   「三人展」Offside gallery・東京(9月予定)

※全文提供: 画廊翠巒


会期: 2010年7月10日(土)-2010年7月18日(日)

最終更新 2010年 7月 10日
 

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