森村泰昌 -なにものかへのレクイエム |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2010年 6月 29日 |
泰西名画の登場人物や歴史上の偉人、著名人などに自らが扮して撮影するセルフポートレイト写真で知られる美術家、森村泰昌。彼は人々の記憶に刻まれた有名なビジュアル・イメージの中に自らの身体を侵入させることによって、既成の視点や境界、価値観を内側から大きく揺さぶり、新たな解釈を呈示してきました。 今回、森村が焦点をあてるのは、20世紀の「オトコ」たちと「オンナ」たち。演じるのは、ゲバラ、レーニン、三島由紀夫など、激動の20世紀を代表する男たちと、モンロー、バルドー、ヘップバーンといった20世紀を彩った映画女優たちです。森村は、20世紀の現実(政治や戦争)の歴史を作ったのは男たちであり、20世紀にフィクション(映画)の世界を輝かせたのは女たちであったととらえ、この現実と虚構のふたつをともに語ることで、はじめて20世紀の総体を見出すことができるのではないか、と語っています。本展では、20世紀の男たちをテーマに、世界のメディアに取り上げられた報道写真を源泉とする最新のシリーズ〈なにものかへのレクイエム-戦場の頂上の芸術〉43点を完全版で紹介するとともに、名立たる映画女優を演じた代表作〈女優シリーズ〉の未発表作品を含む約150点を一堂に展示します。シリアスな男の報道写真の世界ときらびやかで夢のような女優の世界によって、20世紀をモリムラ流に検証します。 「20世紀とは何であったか」。こうした問いと考察に私たちが学ぶもの、それは未来です。真新しい「21世紀的なもの」が猛スピードでつくられていく一方で、さまざまな問題が私たちの目前に屹立している今日、森村独自の作品世界を通じて、あらためて20世紀を考えることで、未来を生きるための指針を発見する契機となれば幸いです。 関連プログラム ※全文提供: 豊田市美術館 会期: 2010年6月26日-2010年9月5日 |
最終更新 2010年 6月 26日 |