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超京都
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2010年 5月 15日

京都三大祭りの1つである葵祭が開催される中、270年間の歴史を有する京都市指定有形文化財である杉本家住宅を会場にアートフェア「超京都 現代美術@杉本家住宅」が開催される。

先週末にも<アートフェア京都>が開催されたばかりだが、「超京都」はこれまでとはかなり趣がことなる。なぜなら、京大工による粋を凝らした技術が遺憾なく発揮された京町家・杉本家住宅を会場としているからである。歴史ある京都ならではの和の空間で見る現代美術は、家屋に流れる時間と調和(あるいは不調和?)し、現代美術の異なる側面を見ることができるだろう。また、普段は一般公開されていない杉本家住宅の内部を見るだけでも、貴重な機会となるだろう。とくに住宅内各所にある照明器具、大座敷から見える座敷庭や台所の走り庭の上に設けられた高窓から差し込む光や新緑の緑が美しい。作品鑑賞と合わせて杉本家住宅に流れる「時間」や家屋内部の細部もまた見てほしい。

だが、集客やビジネスが目的であるアートフェアを歴史ある「指定有形文化財」の京町家で開催することは建物の保存という点では相容れないだろう。京都市内最大の京町家ではあるものの展示会場ではないため、混雑時に多くの観客が来場すれば、建物にとって損傷の原因となりやすいからだ。入場料3000円と高めの設定は、建物の保存を考慮した上でだと思われる。

しかし、京都にはビジネス(観光)と文化財の保存という両立を可能ならしめる蓄積と歴史がある。今後の超京都がアートフェアの新たな伝統の始まりであることを期待している。

最終更新 2015年 10月 31日
 

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