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浅葉克己:デザインの港2
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 6月 15日

画像提供:神奈川県民ホール

東洋的核なもの ⇄ 西洋的核なもの ⇄ 宇宙的核なもの

神奈川県横浜市出身で日本を代表するアートディレクター浅葉克己。浅葉はこれまで食品・医薬品・家電製品・イベントなど多様なジャンルに及ぶポスター・テレビコマーシャルなどを制作してきました。これらの宣伝物は、誰もが一度は目にしたことがある印象深いもので、商品の性質やサービスを伝えるという宣伝媒体の役割のみならず、日常目にする広告そのものの効果により我々の生活自体をスタイリッシュに変容させてきました。

昨年、神奈川県民ホール開館35 周年を記念して開催された、「デザインの港」展では、図形楽譜を取り入れた新作、卓球台にライブ・エレクトロニクスの加工を施した実験的作品、浅葉が撮影したパノラマ写真、これまでに広告制作をともにした坂田栄一郎、十文字美信の写真などを展示し芸術やスポーツなど幅広い分野の観客に好評を博しました。

昨年に引き続き、第2弾となる本展は、1.東洋、2.西洋、3.洋の東西を越えた宇宙的なものという3つの要素から構成されます。デザインにおいて浅葉が特に重要と考える東洋的核は「書」、西洋的核は「デザイン」。「書」では中国・西安の「大雁塔」にある「雁塔聖教序」の臨書や土橋靖子のかな文字作品、書家紫舟によるNHK大河ドラマ「龍馬伝」題字の原書などを出品。そして、「デッサン」ではデザイン教育の殿堂ドイツ・バウハウスに題材を得た新作ポスターなどを展示します。さらに、宇宙的視点に拡大したコーナーでは惑星科学者の松井孝典(まついたかふみ)氏がこれまで研究を重ねた固体地球学、惑星物理学を糸口に、地球の成り立ちに関わり、太古の神秘を想起させる隕石などをモチーフにしたポスター等をご紹介します。

作曲家・ピアニスト一柳慧とのコラボレーションや、書家紫舟や松井博士を迎えてのトークショウなど、盛りだくさんのイベントとともに、浅葉の幅広いネットワークを生かした独創的な創造世界を是非お楽しみください。また、親友であるファッションデザイナー三宅一生氏の新しいプロジェクトのロゴマーク制作を記念し、斬新なコンセプトで作られた新次元の造形物1点を特別に展示します。

浅葉克己 Katsumi ASABA アートディレクター 
1940年神奈川県生まれ。桑沢デザイン研究所、ライトパブリシティを経て、1975年浅葉克己デザイン室を設立。以後アートディレクターとして、日本の広告史に残る数多くの名作ポスター、コマーシャル等を制作する。1987年「東京タイプディレクターズクラブ」を設立、理事長として同クラブを運営するかたわら、アジアの文字文化に着眼、文字と視覚表現の関わりを追求している。

代表的な作品に、西武百貨店「おいしい生活」、サントリー「夢街道」、キリンビバレッジ「日本茶玄米」、武田薬品「肉体疲労にAじゃないか」、ミサワホーム「家ではスローにん。」「ECO微気候デザイン」など。日宣美特選、東京TDC賞、毎日デザイン賞、日本宣伝賞・山名賞、日本アカデミー賞最優秀美術賞、紫綬褒章、東京ADCグランプリなど受賞歴多数。

中国麗江に伝わる象形文字「トンパ文字」に造詣が深い。著書に「生きる力をください。トンパ」(KKベストセラーズ)、「地球文字探険家」(二玄社)、「トンパのアサバイブル」(宣伝会議)など。東京造形大学・京都精華大学客員教授。東京TDC理事長、東京ADC委員、JAGDA理事、AGI(国際グラフィック連盟)会員。デザインアソシエーション会長。日本卓球協会評議員、卓球六段。2008年に21_21 DESIGN SIGHT(東京ミッドタウン)にて「祈りの痕跡。」展、2009年デザインの港 浅葉克己展(神奈川県民ホールギャラリー)を開催。

本展詳細ページ: http://www.kanakengallery.com/asabakatsumi2/

※全文提供: 神奈川県民ホール


会期: 2010年7月7日-2010年7月22日

最終更新 2010年 7月 07日
 

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