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桐島洋子 骨董物語
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 6月 13日

キリの洞窟・グラスルーム
撮影/久間昌史|『骨董物語』(講談社刊)より
画像提供:ポーラ ミュージアム アネックス

作家の桐島洋子氏は、50 歳を過ぎて人生の残り時間を意識し始めた頃から、時間が幾重にも層を成し、濃密に結晶化した「骨董」の魅力にのめり込んでいきました。

本展は、桐島氏自身の磨き抜かれた美意識と、そして重からぬ財布と軽やかなフットワークだけを頼みに収集した東西の貴重な骨董品の数々を展示します。また、それぞれの骨董品がたどってきた歴史や様々なドラマをあわせてご紹介します。骨董品の見た目の美しさだけではなく、その物の持つ物語に耳を傾けることにより、骨董の魅力を探ります。

桐島洋子氏のコレクションを通じて、氏の「美」に対する思いや考え方などを学び取り、「物」を見る目の確かさを養える展覧会です。

私が骨董蒐集を始めたのは、ようやく子育てを終えた五十代、つまり自分が骨董の仲間入りを始めた頃である。エイジング、すなわち人生の熟成は神の祝福だと思っている私にとって、歳経るほどに輝きを増し、味わいを深める骨董との付き合いは何よりの励みになる。

隙間産業というのがあるが、私はさしずめ隙間コレクターだろう。富も権威もコネクションも縁のないしがない物書きが、美術館や富豪に対抗できるはずもないから、ひたすら眼を瞠り直感を研ぎ澄まし、地を這うようにして落ち穂拾いを楽しんで来た。どんなにささやかな骨董も、人生と同じように飽きることのない物語の結晶なのだ。
-桐島洋子

桐島 洋子(きりしま ようこ)
1937 年東京生まれ。1956 年から文藝春秋に勤務、1964 年からフリーライターとして海外各地を放浪。1972 年に「淋しいアメリカ人」で第3 回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。クリスマスに日本へ戻る客船上で、次女ノエルさんを産んだエピソードは有名。著書は「わが愛の航海記」との副題を持つ「渚と澪と舵」(文集文庫)、「マザー・グースと三匹の子豚たち」 (グラフ社)、「残り時間には福がある」(海竜社)など多数。

※全文提供: ポーラ ミュージアム アネックス


会期: 2010年7月10日-2010年8月22日

最終更新 2010年 7月 10日
 

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