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仲山姉妹
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 6月 13日

「菊ヲエラブ」沖永良部島・鹿児島 2010年 | 画像提供:ガーディアン・ガーデン | Copyright © nakayamashimai

仲山姉妹は、家族やアルバイト先で出会った人や物との交流を写真や映像、パフォーマンスによって記録し、作品をつくりあげます。その彼女が初めて本格的に写真に取り組んだ作品が、グランプリを獲得した「化石」でした。入院中の祖父の体にジオラマを施し、消えゆく彼の記憶をカタチに残してあげよう、というまっすぐな表現には、難しいコンセプトも高度なテクニックもありません。彼女のあらゆる作品の根底にある、他者や日常の出来事への好奇心、そこから生まれる感情を留めておきたい、という純粋な思いだけでした。さて、今回のグランプリ個展のために、1年をかけ辿りつき、つくりあげた作品が「菊ヲエラブ」です。新たな出会いを求め、日本有数の菊の生産地である沖永良部島へと向かった仲山姉妹。しかし、美しい花畑の予想に反し現われたのは、針金の支柱と化学肥料の中で咲く、痛々しく、けれどしたたかで逞しい菊の姿でした。やがていつしか、彼女はその菊に自分自身を重ね合わせていきます。写真を中心に繰り広げられる、仲山姉妹独自の映像世界をぜひ会場でご覧ください。

私は菊を選びに来たのに菊は私に選ぶ余地さえ与えてくれなかった。
苗の時からネットと針金に守られて10日に1回の農薬散布、夜には電球の光を浴び昼と間違えて育つ。
だから何も迷わず、何も疑わず、何も知らずにまっすぐ伸びる。
その力強さといったら宇宙人なみだろう。
でも、針金がないと80cmの大人になった時に足もと5cmからポッキリと折れてしまう弱い植物だ。
人間でいうと世間知らずの箱入り娘なんだろう。
菊は農薬を浴びすぎて自ら薬を発するようになっていた。
こんな女子がいたら厄介だと思うけど、それって実は私だったりして。
今、気づいたよ。
-仲山姉妹

仲山姉妹 nakayamashimai
1984 神奈川県生まれ
2009 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業

主な活動場所
2010 芋高花卉農園(沖永良部島・鹿児島) 
2009 みつばち学童クラブ(横浜)・ラーチャダムヌーン・ボクシング・スタジアム(バンコク・タイ)
2008 JA宮崎切り干し大根工場(宮崎)・日高果樹園(宮崎)・さなぎの家(横浜)・西方病院(栃木)・サラリーマン食堂(出石・岡山)・獨協医科大学病院(栃木)
2007 大西農場(北海道)

受賞
2009 第1回写真「1_WALL」グランプリ

個展
2009 アートスペース油亀(岡山)

全文提供: ガーディアン・ガーデン


会期: 2010年6月28日-2010年7月15日

最終更新 2010年 6月 28日
 

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