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尾形一郎・尾形優:ウルトラバロック
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 5月 28日

画像提供:ときの忘れもの|© Ichiro Ogata / Yu Ogata

キリスト教とメキシコの土着の文化が混じりあって生まれた「ウルトラバロック」、その小宇宙を捉えた写真作品をご紹介します。

メキシコの撮影を始めるまではヨーロッパの辺境を旅していた。スペイン南部、シチリア島、フィンランド、ポーランド、ロシアなどに、西欧文明と異文化の衝突している場所を歩いた。

しかし、異文化融合を巡る旅はメキシコで転機を迎えた。私たちは何気なく立ち寄ったのどかな村で、古ぼけた聖堂の扉を開いた。するとイスラムやバロック、曼荼羅などが渾然一体となってできた小宇宙が広がったのだ。一神教の秩序に従おうとしながらも、内部から過去の時間が増殖し、その秩序から溢れ出てしまうような表現を見た。そこには、人間の心の奥深くにある濃密で混沌とした宇宙が、現実の世界に持ち出されていた。彼らが作った神の家は、可視化された人の心の総体だったのだ。

ヨーロッパに隣接する辺境地域にはここまでぶっ飛んだものは無かった。スペイン人がやってくる前のメキシコはそれこそ日本と同じくらい西欧文化からかけ離れた場所だったからだろう。西洋化されたメキシコの教会堂やアイコンは、まったく違う形で出来上がった一足早い近代日本の鏡像だったともいえる。
- 尾形一郎 尾形優

■尾形一郎 ICHIRO OGATA ONO
1960年京都府生まれ。主な写真集に「ウルトラバロック」(新潮社)、「HOUSE」(フォイル)、著書に「極彩色メキシコ巡礼」(晶文社)などがある。2009年フォイルギャラリーで個展を行う。

■尾形優 Yu OGATA
1964年東京都生まれ。1987年早稲田大学理工学部建築学科卒業。一級建築士事務所タイルの家主宰。代表作に「タイルの家」、「フォトハウス」などがある。

※全文提供: ときの忘れもの


会期: 2010年6月1日-2010年6月12日

最終更新 2010年 6月 01日
 

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