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田中和人:GOLD SEES BLUE
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 6月 18日

画像提供:ギャラリーアンテナ|© Kazuhito Tanaka

シリーズ「GOLD SEES BLUE」において、田中和人は金箔の透過光を用いて森を撮影しています。金箔の裏に広がる青い光に満ちた写真は、幻想的で絵画的です。光を制限し、絵画的な効果をフィジカルに介入させることで、田中は写真を固有の時間、場所から解放します。

「僕がここで行ったのは、現実の薄皮をそっとはがし、どこか別の場所でそれをふわふわと解き放つことです。」と語る田中によってつくり出された写真は、もう一つの世界のどこかにある森に鑑賞者を誘いこみます。

田中和人HP: http://web.me.com/kaorukan/kaz

田中和人
1973年 埼玉県生まれ
1996年 明治大学商学部卒業
会社勤務を経て2000年渡米
2004年 School of Visual Arts(ニューヨーク)卒業
2005年 帰国
2006年 トーキョーワンダーウォール入選
2007年 Mio写真奨励賞 入選
2008年 個展「link」(Port Gallery T , 大阪)
2009年 個展「青い絵を見る黄金の僕(Port Gallery T , 大阪)、他 グループ展多数。現在、京都を拠点に活動中

※全文提供: ギャラリーアンテナ


会期: 2010年6月3日-2010年6月27日

最終更新 2010年 6月 03日
 

編集部ノート    執筆:平田剛志


木漏れ日は何色に見えるだろうか。田中和人は金箔の透過光を用いて森を撮影し、絵画的、幻想的なブルーによって世界を満たす。

その展示は作品1点ずつが額に納められ、壁面の余白を生かしながらインスタレーションのように展示構成されている。写真を直に壁面に展示するのでもなく、アクリルマウントによるフラットな額装でもなく、明確に額という枠を必要とすること。それは、複数枚の組み写真が作りだすシークエンスではなく、個と集合によって空間に生み出される「森」のような展示空間である。木々から洩れる木漏れ日のように「光」は私たちを照らし、作品へと招き入れる媒介として存在している。

折しも私が訪れた時は窓から沈みゆく夕陽が空間に差し込んでいた。空間に満たされた写真の青い光と夕陽の橙の光。自然光と写真に定着された光が作り出す光の交差はピクチャレスクな光景として空間を満たしていた。訪れる時間によって異なる光があなたの訪れを待っていることだろう。

なお、ギャラリーが入居する築50年の増田屋ビルも味わい深く見どころが多い。さまざまなショップやカフェがあるが、古書籍好きな方には「砂の書」(http://www.sablelivre.com/)をお勧めしたい。


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