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ベルギー王立図書館所蔵 ブリューゲル版画の世界
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 5月 25日

ピーテル・ブリューゲル《聖アントニウスの誘惑》
1556年|エングレーヴィング
ベルギー王立図書館所蔵 ©KBR

16世紀ネーデルラントの巨匠ピーテル・ブリューゲル(1525/30-69)は日本人にとても親しまれている画家です。ブリューゲルは聖書の世界、諺、子供の遊び、民衆の祝祭、農民の労働の主題を描いています。特に寓意をこめた作品では人間の弱点や愚行を諷刺と教訓、ユーモア精神によって表現しています。私たちはこうしたブリューゲルの芸術からヨーロッパの民衆文化の"ルーツ"や当時の道徳観を知ることができます。

ブリューゲル版画は不特定多数の購買層のために制作されたので、当時の人々のさまざまな関心に応えています。例えば、アルプスの大自然の雄大さ、諺や「徳目」シリーズでの日常生活のあり方、《誰でも》や《錬金術》での人間の貪欲な姿、縁日を祝う民衆の解放感、船舶シリーズでの高度な造船技術などを伝えています。ブリューゲルの非凡な表現力はヨーロッパ中の評判となり、まさに16世紀の版画芸術の頂点に達したのです。さらに時空を超え、現代人の心に語りかけてきます。

本展覧会は、ベルギー王立図書館の全面的なご協力を得て、ブリューゲルだけでなく、世界初の試みとして、同時代の版画も合わせ、150点を展示します。皆様にとって「ブリューゲル新・再発見」のチャンスとなるでしょう。また彼の様式を継承する同・次世代の画家たち(ブリューゲリアーンス)が主題、様式、図像をどう展開させたか、ブリューゲルと比較しながら、一望するのは大変興味深いことです。さらにブリューゲル版画は多くの分野で活躍する方々にも、新しい創造の"着想源"となるでしょう。

会場では最先端の技術を駆使したデジタル・コンテンツやユニークなキャラクターを用いた「ブリューゲル・ワールドの驚異」を用意し、若い世代の方々にもその仕掛けを楽しんでいただけます。

※全文提供: Bunkamuraザ・ミュージアム


会期: 2010年7月17日-2010年8月29日

最終更新 2010年 7月 17日
 

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