| EN |

吉峯和美:Ground
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 5月 25日

《Ground #3》2010年|oil on linen|73x53cm | 画像提供:ASK? art space kimura

《Ground #7》2010年|oil on linen|50×55cm | 画像提供:ASK? art space kimura

風景画か、それとも色面の構成か。吉峯は、具象と抽象の境界を往き来しながら、一つのイメージを立ち上げます。天と地を思わせる画面の二分割は、冬の荒涼とした大地、あるいは嵐が迫る海原のようにも見えるでしょう。「Ground」と題された一連の絵画は、吉峯が辿った道程で偶然現れた自然の姿を映し出し、刻々表情を変える大地と、大気の粒が舞い降りてくるかのような空によって、画面の均衡が保たれています。それは、19世紀の北方ロマン主義の画家、フリードリヒの荒々しい自然の猛威に立ち向かう人間の存在や営為のはかなさを表す絵画を彷彿とさせるといってもいいでしょう。一方で、遠近法から解放された平坦な画面構成は、20世紀半ばのアメリカ抽象表現主義の絵画の文法を受け継いでいるとも見ることができます。

そこで見る者は、風景と色面構成のあいだで揺らぐ絵画空間に身を投じ、自然の営みに身を任せながら、旅の偶然や生のままの自然に抱かれる感覚をひそかに体験することでしょう。

厳しくも慈愛に満ちた、詩情溢れる吉峯の絵画と、それらが繰り広げる「世界」の姿にご期待ください。

【見どころ】
・景色かと思えば、色の重ね合わせのように見え、色による画面構成かと思えば風景が立ち上  がっているという、具象画と抽象画の境界を越えた絵画表現の実現。
・天と地を思わせる画面の二分割で、19世紀の北方ロマン主義と20世紀中ごろのアメリカ抽象表現主義の絵画における文法を同時に用い、見る者に荒涼とした原野をゆく冬の旅を想起させる。

全文提供: ASK? art space kimura


会期: 2010年5月24日-2010年6月5日

最終更新 2010年 5月 24日
 

関連情報


| EN |