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没後120年ゴッホ展:こうして私はゴッホになった
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 5月 23日

《アイリス》1890 年|油彩/キャンヴァス|92×73.5 cm
ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)

オーヴェール=シュル=オワーズで亡くなる一カ月あまり前、ファン・ゴッホは妹のウィレミーナに宛ててこのように書きました。100 年後を生きる人々の心にも届く作品を残したい-そのファン・ゴッホの望みは見事に叶えられ、没後120 年を経た今もなお私たちの心を揺さぶり続けています。

2010 年はフィンセント・ファン・ゴッホ(1853–1890)が没して120 年目にあたります。今回のゴッホ展では、オランダのファン・ゴッホ美術館とクレラー=ミュラー美術館という2 大コレクションの全面協力のもと、約120点の作品によってファン・ゴッホ芸術の誕生の謎に迫ります。どうぞご期待ください。

ファン・ゴッホは生涯を通じて、作品の様式や技法について熱心に探求を繰り返しました。彼は懸命に仕事をし、かつ創意に溢れていましたが、その才能が花開くにつれて、自分が抱く芸術的な効果を生み出すために、素材や技法を充分に利用することができるように

なりました。彼は解剖学や遠近法、そして色彩理論などを学びましたが、理想とする芸術を達成するためには、それらが基礎になるということをよく知っていました。

芸術家として成長する過程で、ファン・ゴッホは他の芸術家たちから多くのことを学びました。その中には、ラッパルト、モーヴ、ロートレック、シニャック、ゴーギャンなどのように個人的に親しくなった芸術家もいましたが、フランス・ハルスのような古典的巨匠や、ドラクロワのような19 世紀の著名な画家が用いた技法や考え方については本で読んだり、美術館や公共の場所に展示されている作品を見て学びました。

今回の展覧会とカタログでは、ファン・ゴッホが自らの様式と技法を発展させる上で参考にした考え方や手段についての概略を示すことと、その過程で影響を受けた芸術家たちについて考察することを目的としています。展示される作品は必ずしもファン・ゴッホが知っていた作品とは限りませんが、彼が親しくしていた当時の芸術家たちのさまざまな創作方法について理解するよい手がかりとなるでしょう。同様にファン・ゴッホが読んでいた本や、パースペクティヴ・フレームのような、彼が使っていた道具や材料も展示されます。

さらに、X 線写真や赤外線反射装置などを使って絵画技法の解析を行なう、といった専門的な調査の一端も本展では紹介されます。

日本の鑑賞者にとって、今回の展覧会は、ファン・ゴッホが、いかにして自らの技法と様式を発展させ創作を行なったかについて知る絶好の機会となるでしょう。ファン・ゴッホと同時代の重要な画家について、このような方法によって日本で紹介された例はこれまでほとんどありませんでした。
- シラール・ファン・ヒューフテン(本展監修者)

※全文提供: 「ゴッホ展」広報事務局


会期: 2010年10月1日-2010年12月20日

最終更新 2010年 10月 01日
 

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