| EN |

岡田ムツミ
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 5月 07日

《さくら》 2010年|油彩、キャンバス|70x100cm 画像提供:ギャルリー東京ユマニテ | Copyright © Mutsumi OKADA

岡田ムツミは1953年、長野県生まれ。女子美術短期大学卒業後、1985年に旧西ドイツに渡り、ケルン美術大学、パリ・ボザールで絵画を学びました。現在は、ドイツ・ケルンを制作の拠点として発表を続けています。本展はギャルリー東京ユマニテにおいて3年ぶりの新作展となります。

岡田の作品は、カンバスに極限られた色数で平行なラインや幅の違うストライプが描かれています。一見、ストイックでシンプルな作品ですが、その整理された画面からは、実に饒舌で、芳醇な香りが漂ってきます。

岡田は、例えば日課になっている散歩の途中に訪れる公園の風景、耳にする音楽、小説などから受ける感情、感覚を視覚的に表すにはどうしたらよいか、それらを絵画に置き換えたら…、という手法で作品に作り上げていきます。「眠っている」は、タンゴノピアソラの曲を聴いた時の感情を、「さくら」は桜が持つ独特のイメージと、桜の風景から立ち昇る香りや、感情を色という無限の素材を駆使して表現していきます。それは、日本から25年もの間、離れて制作、生活してきた彼女の生き様が作品となり、私たちが日々の生活で忘れかけてきた、人間が本来持っている全ての感覚を呼び覚ましてくれるようにも感じられます。

この豊かでありながら、静謐な瞑想性さえもが漂ってくる岡田ムツミの作品群、今回は、新作を含めて約15点を展示いたします。絵画の原点に戻り、充実感に満たされるこの体験を是非味わって下さい。

2010年ギャルリーユマニテでの発表に寄せて

2007年のギャルリーユマニテでの発表以来、社会の変動並びに個人的環境の変化に伴い、私の関心も必然的に、見えるもの、或は関心のある事が変わらざるを得ない状況の中、絵について再考する必要がありました。

そして、今の私ができる事であり、したい事でもあり、かつ、しなければならない事をその制作をとおして見いだしてきました。

画面の中から絵の要素としてあった水平線も消えて色だけになったりもします。そうなると、その色がどのように描かれたのかが、その跡が今まで以上に大事になって来て、その筆跡と描かれる絵の必然性とを見いだしながら、制作せざるを得ない事に気づきました。果たして、同時代を生きる方達に共感し、楽しんで頂けましたら幸いです。
ケルン、岡田ムツミ

岡田ムツミ
1953 長野県生まれ
1973 女子美術短期大学卒業
1985-93 ケルン美術大学在籍(絵画専攻)
1989-90 エコール・シューペリヨール・デ・ボザール(フランス国立美術学校)留学
1992 ケルン美術大学にてマイスター・シューラー号取得
1996 芸術企画「プラハ三態」(文学領域から多和田葉子氏、写真部門からジャネット・吉井-ビュンガー氏)にてプラハに滞在
2001 文化交流企画「ケルン・京都 - 寺院と教会」に参加
2003 アーティスト・イン・レジデンス・プログラムの 支援で京都に短期滞在、建仁寺にて企画展発表

※全文提供: ギャルリー東京ユマニテ


会期: 2010年7月5日-2010年7月17日

最終更新 2010年 7月 05日
 

関連情報


| EN |