君主論 -Il Principe- |
アートワーク |
執筆: 小金沢 智 |
公開日: 2009年 10月 02日 |
倉敷は大原美術館のアーティスト・レジデンス・プログラム「ARKO 2007」で滞在制作された作品だが、最初に発表されたのは京都のgallery neutronである。 私にとって≪君主論 Il Principe≫は衝撃だった。ギャラリーの壁面、そのほとんどを覆わんばかりのスケールの中に描かれているのは噴煙であり、閃光であり、神殿であり、ドゥオーモである。あるいは「ワッハハハハ」と笑う山であり、「夏」と書かれた墓であり、夜空にぷかりと浮かぶ月である。沢山のパーツを作り、それらを繋ぎ合わせることで一つの画面を構成するという手法によるため視点が定め難く、全体を捉えんと距離をとるか、近視眼的にミクロな世界に入り込むかの二つしか鑑賞の方法はない。しかし音も無くあらゆるものが爆発しているような全体のイメージは膨大でありながら決して重苦しいものではなく、むしろ澄み切ったものだ。≪日本画滅亡論≫、≪日本画復活論≫に次いで発表された作品は、当時の三瀬の達成を見せるものだった。 作品詳細アーティスト: 三瀬夏之介 |
最終更新 2019年 10月 23日 |