日本画復活論 |
アートワーク |
執筆: 小金沢 智 |
公開日: 2009年 8月 30日 |
同時期に中京大学アートギャラリー C・スクエアで開催されたグループ展「日本画滅亡論」出品のため≪日本画滅亡論≫を描きながら、一方で三瀬が描き上げたのが≪日本画復活論≫である。胡粉が効果的に使用されることで、物々しく混沌とした画面の≪日本画滅亡論≫とは対照的に、まばゆい光が全体を覆うようなとかく透明感のある作品に仕上がっている。 星が瞬く夜空の下の家々や、林立するドゥオーモは当時研修先として訪れていたフィレンツェの光景が元になっているに違いない。しかしよく見ればドゥオーモには日章旗が立ち、それらを富士山であると断言するのは憚られるものの、山々の描写もこれまで三瀬が描いてきたものを踏襲している。すなわち日本とイタリアの景がきわめて直接的に融合されているのだが、その融合は≪日本画滅亡論≫のごとく屈折した形をとっていない。以後三瀬はこのような墨を中心にした作品の制作へと移行していく。エポック・メイキングな作品として位置づけられる。 作品詳細アーティスト: 三瀬夏之介 |
最終更新 2015年 11月 01日 |