ハヨピラ |
アートワーク |
執筆: 小金沢 智 |
公開日: 2009年 8月 29日 |
≪ハヨピラ 1≫≪ハヨピラ 2≫≪ハヨピラ 3≫からなる三連作。2008年に台北市立美術館の水墨画のグループ展でまず発表され、その後国内では富山県水墨美術館と練馬区立美術館でそれぞれ開催された「現代の水墨画 2009 水墨画の現在地点」でお披露目となった。全体として比較的墨の色調が淡いものの、きわめて大胆な構図は三瀬の作品中でも突出している。 「武装する崖」というアイヌ語の採用は2008年夏に三瀬がアイヌの遺跡に「迷い込んだ」ことが関係しているのだろうし(『現代の水墨画 2009 水墨表現の現在地点』富山県水墨美術館・練馬区立美術館、2009年)、中国にステレオタイプな「日本」を持ち込まないようにした結果かもしれない。だがそれでも≪ハヨピラ 3≫の山は私には富士山に見えてしまうし、≪ハヨピラ 1≫にコラージュされているのは大仏の手にほかならない。三瀬が「日本」や「日本画」から抑圧のようなものを感じながらもそれらが変わらず立ち上がるのは、既にそれらが三瀬の血肉と化しているからであり、≪ハヨピラ≫にはそのことに対する大胆不敵な開き直りが感じられる。「ローカル」なものにより強い可能性を見出しているようだ。 作品詳細アーティスト: 三瀬夏之介 |
最終更新 2015年 11月 01日 |