式2 |
アートワーク |
執筆: 小金沢 智 |
公開日: 2008年 11月 24日 |
「植物は無限造形の中にある/それらを表現するという事は/それらを囲む全ての環境に規則をつくり/はめ込んでゆく作業だと私は思う。/(中略)/式は二つのキーワードから成り立っている/一つ目は松(無限)二つ目は四角形(規則)/松は植物の中で最も複雑な造形美と強い生命力を持ち合わせている/すなわちここでは無限という存在である/それを様々な素材の四角形という規則にはめ込んで摩擦を起こす作業である」(コンセプトシートより)。 鉄枠を規則とした《shiki》(2005年)に続く、「式」二作目の規則は氷。イマセキ氷技術研究室の協力によって作られた冷凍庫に、東は五葉松を活けこんだ。つぶさに見れば、その中では枝葉からまさに空中に出て行こうとする酸素すらも凍りついていることが確認できるだろう。それはまさに、松が植物としての活動をしているがゆえに現れた美しさの一面に違いない。だがここで注目したいのは、そうして凝らした視線をふと外した先で気づく、氷の中で、松が外から射しこむ光によってその姿を乱反射させていることである。むろん氷は鏡ではないから、はっきりとした姿形が認められるわけではない。わたしたちは松の像が光とその屈折によって揺らぎ、うっすらと変化していくのを見るのみである。四方から確認できる特製の冷凍庫の中で、松は動かずとも豊かな造形を手に入れた。 作品詳細アーティスト: 東信 |
最終更新 2015年 11月 01日 |