北川麻衣子 |
アーティスト |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2008年 10月 12日 |
1983年埼玉県生まれ、東京藝術大学絵画科油画卒業、東京藝術大学大学院在学中。 幼少時代に読書に親しみ、特に好んだという「エルマーの冒険」などの西洋寓話への傾倒が、現在多く描かれている題材の原点となっている。また、読書から得た想像の世界を描くことが幼い頃からの習慣であったことも、その後の画家の道を志すきっかけとなった。 日々手元で起こす想像世界のスケッチには、幼少時代からボールペンを愛用している。ボールペンはすぐ手に取れる日常の簡便性から愛用するに至ったと北川は述べる。北川の想像の中の「寓話的世界」とは、一貫して、闇もしくは鬱蒼とした暗がりを背景に占めており、ボールペンで描くことは、つまり紙の白さを描き埋めていく行為にもあたる。 一方、2007年頃からボールペンに代わって用いるようになったダーマトグラフは、カンバスを容易に黒く塗りつぶせることからも、描くことが「白を見せるために黒を塗る」行為に変わるという、大きな転換を招いた。北川はダーマトグラフとの出会いを、『新しく「白」が世界に入ってきた感じ。できることが広がった喜び』と言及している。 ダーマトグラフとの出会いは、ボールペンで作り出せる作品規模や内容に限界を感じていた頃に、大学のリトグラフの授業で手に取ったことがきっかけだった(ちなみに、リトグラフという創作手段については、製作過程で銅板を一度手放さなければならないと、完成までが全て自分の手によるものでないことが、選択しなかった理由と述べている)。 ダーマトグラフの作品では、黒をベタ塗りした上から、消しゴムで「引きずって」(削り)色を抜き、白を掘り出し、陰影や質感を得る点が特徴となっている。ダーマトグラフとの出会いは、黒以外の色への可能性も示唆しているように伺え、将来そういった作品が生まれる日が待ち遠しい。 「自分の吐き出した想像が、ひとつの新しい寓話の世界として観客に伝わっていくことが夢。自分の描いた世界が人々の間で新しい『言い伝え』になれば」と語る北川。取扱い画廊によると、制作スピードも人並み外れたものがあるとのこと。想像力、制作への意力と体力、それを支えかつ伸び続ける高い技量が、今後の成長を期待させて止まない。 活動年表 |
最終更新 2016年 11月 04日 |