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伊藤雅恵:She Has Mountain
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2009年 12月 17日

アクティヴで流動的な筆の動きを目で追うごとに画面が生き生きと躍動する。それは「立ち向かう」としか言えないようなエネルギッシュな絵画なのである。伊藤はこれまで花をモチーフとして光溢れる絵画空間を展開してきたが、今展の新作では「人物」をモデルとして、これまでの光が充溢する求心的な絵画面は影を潜めた感がある。 だが、ジャコメッティの人物ドローイングを想起するまでもなく、モデルとの距離感を含めて気配や空気さえ取り込み、伊藤の筆の動きは勢いよく動き始める。より拡散的、躍動的に。イメージや形象を乗り越え、変容した先に現れる画面に「人物」などたいした意味さえ持たなくなってしまう地平へ。 《rolling girl》伊藤雅恵、00年代に現れた画家としては、近年稀にみる骨太な画家かもしれない。

最終更新 2010年 6月 27日
 

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