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DREAM CONSCIOUS かたちになりかけた夢
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2009年 12月 08日

ファッションデザイナー津村耕祐のキュレーションにより選ばれた大久保美彩、神楽岡久美、佐藤彩の若手女性作家3名と津村氏による新ユニット「Monaka」によるグループ展。このようなグループ展示では見栄えのいいスペースはベテランが展示するものと思っていたが、津村氏は若手にスペースを譲り、控えめな場所に展示されていた。このジェントルなキュレーションは讃えたい。 本展で印象的なのは、神楽岡久美によるプラスチックの結束バンドを素材に制作した「The plastic arts」である。スウェーデンのファッションデザイナー、マッティン・ベリストロムは「体は服にとって骨組みのようなものになるんだ」(「Swedish Fashion」展リーフレット、Swedish Institute、2009年、p.8)と発言していたが、神楽岡の作品は服にとっての体=「骨組み」をシンプルな素材でマテリアライズした傑作である。LEDライトを使用した作品もクオリティが高く、ドリーミーな雰囲気を漂わせる。 大久保美彩は布のモザイクがカラフルな襞を感じさせる「Mosaic rabbit」が動物のモチーフをかわいらしさで終わらせない造形感覚を見せる。 布はそれ自体では平面だが、服となる時、立体となる。その平面と立体への複雑なアプローチを佐藤彩、Monakaの作品に見ることができるだろう。 ファッションにも、美術にも納まらないその越境性は、東京都現代美術館にて開催されている<ラグジュアリー:ファッションの欲望>展との関連も想起させ、興味はつきない。

最終更新 2010年 5月 31日
 

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