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河口龍夫:言葉・時間・生命
編集部ノート
執筆: 小金沢 智   
公開日: 2009年 10月 22日

河口の作品は一見しただけではよくわからない。であるばかりか、よく見てもわからないものが多い。だから展覧会を訪れ、わからないからといって自分を卑下する必要はない(皆わからないのだから)。河口の作品はむしろ、その〈わからなさ〉に向かって、積極的に思考を掘り下げてはどうかと私たちに問いかける。展覧会タイトルにあるように、本展のテーマは「言葉•時間•生命」だ。それらのいずれも私たちの〈生〉と不可分であることは言うまでもないだろう。河口の作品を見る、というよりもその作品と相対することは、すなわち私たちの生きるこの世界の深淵について自らの頭で考えることにほかならない。世界についての思考が一筋縄ではいかないように、河口の作品もまた、簡単ではないがゆえに誠実である。 鑑賞にあたり手助けが必要ならば、会場の章毎の解説パネルとキャプションに加え、入口で配布されている会場案内には担当学芸員による丁寧な作品解説がある。カタログにはより仔細な小論二本に加え、河口による文章も掲載されている。合わせて参照されたい。

最終更新 2010年 6月 27日
 

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