| EN |

ウィリアム・ケントリッジ:歩きながら歴史を考える
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2009年 10月 07日

木炭、パステルによって描かれたドローイングを部分的に描き直しながら1コマづつコマ撮りしていくドローイングアニメーションを制作するウィリアム・ケントリッジ待望の日本初個展。近年、多くのグループ展参加で、その作品の鮮烈な印象が忘れられなかった私たちにとって、これは祝福すべき「歴史」である。 ケントリッジのアニメーションは南アフリカ共和国出身という出自から、南アフリカの歴史、政治や社会状況を読みとることが可能な作品ではある。だが、緻密な編集と音楽によるポストプロダクションが加えられたドローイングアニメーションからは、最先端の技術にはなしえないイマージュが画面に漲り眼を離すことができない。動画やアニメーションが溢れる現在において、素朴なまでにムービングイメージを見ることの陶酔へと私たちを誘うことだろう。 なお、全映像作品必見のため、時間を充分に取って体感して頂きたい。この後、本展は来年に東京国立近代美術館、広島市現代美術館へと巡回される。しかし、あえて言おう。作家と3年にも渡る緊密な準備作業を進めてきた京都国立近代美術館へと我々は駆けつけるべきであると。

最終更新 2010年 6月 27日
 

関連情報


| EN |