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小沢剛:透明ランナーは走り続ける
編集部ノート
執筆: 桝田 倫広   
公開日: 2009年 8月 27日

展覧会のステートメントやキャプションなどにおいて、小沢剛の作品をむやみに「平和」という言葉に結び付けようとするのは、季節柄の問題か、この美術館が抱える土地性の問題か、はたまた去年発生した性病禍のせいか、私にはよく分からない。いやみを言いたいわけではない。もちろん「平和」というメッセージ性がないとも思わない。言いたいことはひとつで、「平和」という言葉に片づけられないほど彼の作品は、人と人とのコミュニケーションの深部に肉薄しているように感じるからだ。 それはさておき、≪なすび画廊≫≪ベジタブル・ウエポン≫などの旧作や広島に因んで作られた新作インスタレーションまで、素材・手法にこだわらない小沢の懐の広い想像力と実行力には恐れ入る。中堅作家の円熟した作品群を安心してみることができる展覧会であり、小沢剛という作家の半生を振り返るには、蓋し的確な時期を捉えた個展だと思う。

最終更新 2014年 4月 11日
 

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