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俵萌子 展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 4月 12日

(c) Moeko Tawara/O Gallery eyes 画像提供:Oギャラリーeyes

作家コメント
紙にドローイングをしていると無意識になぐり書きのような線を幾重にも描いていることに気がつきました。
初めは平面的だった線描が重なるにつれて濃淡の差を生じさせ、隙間から光のように地の白が透過してくる。
そこに生まれた奥行き感というのは、シンプルであるからこそ自分にとってとても興味深いものに思えました。
重ねることで透過してくる光が画面上に奥行きを持った空間を浮かび上がらせるというのは、油絵の成り立ち方と似ている気がします。
油絵の具は塗り重ねるほど深みを増し、暗い水の底のような目には見えない“その先”を感じさせてくれます。
その深みを奥行きという抽象的な感覚へと移行させることができるのではないかと考えました。しかしそれと同時に絵の具は塗り重ねるほど物量を増していきます。油絵の具で描かれた画面は確かな量感を持ち、描いた私の身体的な実感も痕跡としてとどめ、リアルな存在として眼前に立ち現れます。感覚的な存在と現実的な存在、その両方が観る人の視覚の中で揺れ動き、絵画にしかできない体験を生むことができないかと考えています。
私達はたぶん、常に“その先”を見ることを欲しているのではないかと思います。私は自分の絵にそういうものを見たいのです。ただその景色というのは人によって様々です。私は自分の絵がそれぞれにとっての“その先”を映し出す窓のような存在であれば良いと思っています。

俵 萌子
1978 静岡県生まれ
2001 大阪教育大学教養学科芸術専攻美術コース卒業
2009 第22回ホルベインスカラシップ奨学生
個展:
2005 Gallery H.O.T(大阪)
2006 Oギャラリーeyes(大阪)
2007 Oギャラリーeyes(大阪)
2008 Oギャラリーeyes(大阪)、Oギャラリー(東京)
2009 Oギャラリーeyes(大阪)
グループ展:
2005 シェル美術賞展2005(代官山ヒルサイドフォーラム・東京)
2006 エラン(Oギャラリーeyes・大阪)
2007 Drawing-Exposed essence 07(Oギャラリーeyes・大阪)
2008 VOCA展 2008 -新しい平面の作家たち-(上野の森美術館・東京)
2009 Absolute basis 俵萌子と細田聡子の場合(Oギャラリーeyes・大阪)
受賞: 2005 シェル美術賞展2005(尾崎信一郎審査員賞)
参考文献:
尾崎信一郎:「シェル美術賞展2005」カタログ(審査員概評)、平芳幸浩:「アートトップ」2008年3月号(展評)、尾崎信一郎:「VOCA展 2008」カタログ(テキスト)
パブリックコレクション: 昭和シェル石油株式会社

 

※全文提供: Oギャラリーeyes

最終更新 2010年 4月 12日
 

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