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廣澤仁 展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 4月 09日

《弥生》 2010年 65.5X53cm|ed.3|シルクスクリーン、蜜蝋、紙、パネル 画像提供:画廊翠巒 copy right(c) Jin HIROSAWA

シルクスクリーンという版画の技法を積極的に取り入れながらも、その技法が持つメディアとしての特異性を積極的に活用しつつ、いわゆる版画という転写的表装より、絵の具の凹凸などペインティング作品としての物質感を強く感じさせる作品である。どこか懐かしく、しかし今日的な表現の中で置き去りにしてしまった「過去の未来」のようなパラドックスな感覚を想起させる作品である。 今回の個展に際し、廣澤 仁本人は以下のようなコメントを寄せている。

『金や銀などそれ自体は色彩を持たず、周りの環境によってゆらぎ、時間によってうつろい変化する表層に興味があります。
絵画はスタティックなイメージがありますが、実際は時間の縦軸と空間の横軸をもつダイナミックなメディアだと思っています。
たとえば、鑑賞者の身体のリズム、心の働きにより絵画は揺れ動きますし、また日中に太陽光のもと鑑賞するのと日没後ではその印象は刻々と変わっていきます。もっと永いスパンでは何年か後に再び鑑賞した時、以前とは異なった部分が前景化していることはよくあります。
また釘ひとつで設置できる利便性からアトリエからホワイトキューブへ日常生活の場へと背景が変わる事が容易に可能で、それにより文脈あるいは内容そのものも変化します。そしてそれを追うように鑑賞者も空間を移動し、鑑賞する際には視線のうつろいにともなう前後左右への移動。その道すがら高まる期待感や幸福感、その道程を含めた総体が絵画として組み込まれています。
時間の縦軸、空間の横軸を意識しながら作品を見ています。(作っています)最近では金、銀の光の作品と平行して、それらと対をなす、モノクロームで表面に蜜蝋を刷って時間を加速させたヒビの入った作品も再び作り始めました。
-廣澤 仁』

廣澤 仁
1976   山口県防府市に生まれる
1999    武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業
2001     武蔵野美術大学造形研究科美術専攻版画コース修了
2007、2008 三戸町立現代版画研究所特別講師
2008~   東北芸術工科大学非常勤講師
2009~   武蔵野美術大学非常勤講師
  グループ展:
1998 全国大学版画展(1999、2000「買い上げ賞」)/町田市立国際版画美術館・東京
1999 卒業制作展「優秀賞」/武蔵野美術大学・東京、 第67回日本版画協会展「山口源新人賞」/東京都美術館・東京、受賞者記念展/ギャラリースペース、21・東京/星ヶ丘アートビレッジ・高知、Pulse/武蔵野美術大学課外センター・東京
2000 イビサビエンナーレ2000・スペイン
2001 修了制作展「優秀賞」/武蔵野美術大学・東京、あおもり版画トリエンナーレ2001/青森市民美術展示室・青森
2002 第2回山本鼎版画大賞展/上田創造館・長野
2003 オープンスタジオ/未来工房・東京(2005、2007、2009)、11回中華民国国際版画展/國立台灣美術館・台湾
2004 とよた美術展‘04/豊田市美術館・愛知、ふくみつ棟方記念版画大賞展/福光美術館・富山、あおもり版画トリエンナーレ2004/青森市民美術展示室・青森、これから/23ギャラリー・東京
2005 第13回吉原治良美術コンクール/大阪府立現代美術センター・大阪
2006 第10回浜松市美術館版画大賞展/浜松市美術館・静岡
2007 PRINTS TOKYO 2007/東京都美術館・東京
2008 VISIONS -増殖するイメージ-/日本橋高島屋美術画廊X・東京、新宿高島屋美術画廊・東京、第十三回中華民国国際版画展/國立台灣美術館・台湾、Session/Alternative Space CY(東北芸術工科大学)・山形、西湘画廊・東京、金沢21世紀美術館・石川、第4回山本鼎版画大賞展/上田創造館・長野、第62回山口県美術展/山口県立美術館・山口、ビエンナーレKUMAMOTO Ⅳ「準グランプリ」/熊本県立美術館・熊本
2009  2nd Guanlan International Print Biennial 2009/Guanlan Museum, Shenzhen, China, Lessedra 8th World Art Print Annual-Miniprint2009/ Lessedra Gallery, Bulgaria、転位/画廊翠巒・群馬
  ※全文提供: 画廊翠巒

最終更新 2010年 4月 17日
 

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