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「ホルモン」しえなたばさ 「未来指向」寺元博昭 写真展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 4月 07日

画像提供:マキイマサルファインアーツ

写真家・須田一政が主宰する写真ワークショップ 須田一政塾は、今年で10周年を迎えます。その活動を記念し、また新たな一歩として、須田がキュレーターとなり、新人作家2名を紹介します。 携帯のカメラにより、生の凝縮された一瞬を表現するしえなたばさ。いまひとりは、車を撮影し、舞台の書割のように向こう側がない独自の世界を見せる寺元博昭です。

「ホルモン」しえなたばさ 「未来指向」寺元博昭 に寄せて
「写真」において、本来個人が体得すべきだった撮影技術は、機械の進化とともに重要性を失いつつある。初心者が作品を創作するには一番安易な表現手段だと考える人も多いのではないだろうか。しかし、それゆえ淘汰されるのが感性という曲者である。曲者は例えプロといえども容赦がない。完成度の衣を身に纏っても綻(ほころ)びは隠せない。誰もが持ち合わせているからこその地平の広さは、写真表現の道をより険しくさせるのである。

今回の写真展は、現在、私を唸らせる2名の新人によるものだ。

しえなたばさは、凝縮された妄想のような世界を垣間見せる。写真は実体があってこその表現手段だが、彼女の作品を見ているとその実体すら疑わしくなる。身の回りの光景をこれほど自己の範疇に引き入れてしまう念力は独自の才能と言ってもいいだろう。

寺元博昭の作品は、計算しつくされたかのような硬質さを持っているかと思えば、見事にはぐらかされる。遠近感がなく、そのものだけが顕わで向こう側がない。シンプルすぎる視線の怖さが見るものを圧倒する。

彼らは最終的な自己表現を視覚に依託した。見続けることの魔力を見出した彼らの第一歩を心から応援したい。
- 須田一政(写真家、今展キュレーター)

※全文提供: マキイマサルファインアーツ

 

最終更新 2010年 4月 16日
 

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