| EN |

能の雅(エレガンス) 狂言の妙(エスプリ)
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 4月 01日

《紅地白鷺太藺模様縫箔》  (前田家伝来)安政5年(1858)|国立能楽堂コレクション

わが国の伝統芸能である能楽(能と狂言)は、室町時代初期の成立から600年以上もの歴史を誇る貴重な無形文化財です。2001年にはユネスコの「世界無形遺産」として認められ、その芸術性は新たな注目を集めています。
  国立能楽堂は、日本国内における能楽の普及と発展、演能者の育成を目的に、1983年(昭和58年)に設立されました。以来、四半世紀の間、能楽の上演とともに、能楽研究のための関係資料収集に努め、能・狂言面約80点、能・狂言装束約130点、能楽器約10点、絵画・文献資料約100点等、総計約400 点にも及ぶ有形文化財の一大保存・研究センターの役割を果たしています。
  能楽関係資料は国立能楽堂内の展示室において公開されてきましたが、本展は開場25周年を記念して、所蔵の能楽資料を一堂に展示し、日本美の究極の姿を集約しているとも言える能楽に見られる文化のかたちを、その歴史とともにご紹介するものです。「幽玄」という言葉で表現される「能の雅(エレガンス)」と、その対極に位置する「狂言の妙(エスプリ)」の魅力を存分にお楽しみください。
  【展覧会の構成】
1.能面
見る人の想像力により様々な表情が読み取られる能面は、能の舞台で重要な役割を担っています。老若男女を表す面、人間の精神面のあり様を表象する面など、代表的な役柄の面をご覧いただきます。
  2.能装束
織りや刺繍などの染織技術の粋を結集して作り出された能装束は能面とともに幽玄な美の世界を創出してきました。日本の染織史上貴重な、いにしえの加飾技術は能装束によって伝えられて来たといえます。
  3.特別展示 桃山時代の能装束、加賀前田家の能装束
舞台衣装としての完成度を高めた桃山時代の能装束と初公開の加賀前田家の能装束を特集して展示します。
  4.狂言面
面を付けずに演じることが多い狂言にあって、特殊な役には、人間味溢れる劇の性格からか、滑稽でユーモラスな面がみられます。 5.狂言装束
軽妙さと笑いに満ちた舞台に相応しい、洒脱さや大胆さが特徴の狂言装束をご覧いただきます。特に肩衣にみられる意表を突いたモチーフからは狂言の躍動感溢れるエネルギーが感じられます。
  6.絵画・文献
能楽の面や装束がどのように用いられ演じられて来たのかを伝える絵画、演者による伝書や台本など、能楽の歴史を示す資料をご覧いただきます。
  ※全文提供: サントリー美術館

最終更新 2010年 6月 12日
 

関連情報


| EN |