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安藤隆一郎・稲垣萌子:Jungle Project!! - Johnny come lately
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 3月 26日

安藤隆一郎 《水平飛行のはじまり》 画像提供:モリユウギャラリー copy right(c) Ryuichiro ANDO

"Jungle Project!! - Johnny come lately - "は、迷路のように入り組んだ未開の地にいるような若手作家の中から興味深い作家を発掘、展覧します。これは彼等にとって「JUNGLE」から「森MORI YU GALLERY」にまで辿り着けるかどうかのSURVIVALISMです。

若手作家発掘、久々の展覧会になります。

安藤隆一郎
1984年  京都出身
2007年  京都市立芸術大学美術学部 工芸科 染織専攻 卒業
2009年  京都市立芸術大学美術研究科修士課程 工芸専攻 染織 卒業
現在    京都嵯峨芸術大学 染織研究室 教務助手 勤務

「水槽に石を落とすと目にみえるものと見えない変化が水に生まれる。
それは、水面の波紋や石の軌跡の気泡であったり、見えないうねりである。

同じように「心が痛む」「勇む」といった感情が自分の中に沸き起こった瞬間、体の中にも変化がおこる。
環境によって性質や形態を変える「水」を通して人体の表皮内側に広がる不可視の感情やエネルギーの世界を表現する。」


稲垣萌子
1984年  滋賀出身
2007年  京都市立芸術大学美術学部 美術科 版画専攻 卒業
2009年  京都市立芸術大学美術研究科修士課程 絵画専攻 版画 卒業

「小さい頃に手のひら血管をなぞって遊んだ。
この道筋は決して同じものが無く、体中をめぐり血液を運ぶ。
そして、わたしがわたしであることを証明してくれる。

それは、ときに河の分岐のようであったり、樹の枝のようだ。
可能な限りに広がり続けようとする線に私はとても惹かれる。
手のしわ、葉脈、血管などから取り出した線を同一線上に置きなおし、すべてを内包する状態は、異なるものが共に形成する地図のようなものである。」

※全文提供: モリユウギャラリー

 

最終更新 2010年 3月 27日
 

編集部ノート    執筆:平田剛志


ろうけつ染めによって平面作品を制作する安藤隆一郎、自身で制作した版画をコラージュへと展開させる稲垣萌子の関西若手作家二人展。
安藤隆一郎の画面は水平や垂直の揺らぎが作り出す不安定さに深みある色彩が背後から支えるように落ち着きを与えている。だが、古典的な技法を使いながら、アニメーションのような色彩感も感じられ、浮遊感が漂う。可能なら距離を取って、見てみてほしい。この色のグラデーションや濃度から次はどのような軸へと動くのか期待したい。同じくろうけつ染めを作品制作に用いている西山裕希子(VOCA展2010出品)の作品とは趣が異なるが、ろうけつ染めという技法を平面作品へと展開していく作家たちが登場していることに新たな平面の可能性を感じる。  続いて、色彩に染められた安藤隆一郎の作品に対して稲垣萌子は余白を生かした作品である。稲垣は版画を制作した後に、それを素材に線が延び広がるようなコラージュ作品を制作する。その繊細かつ精巧に切り取られた線のカット&ペーストは、葉脈や手のしわ、地図の等高線のように線が広がりだす。それは、版画でできることを下地としながらも版画が既定する枠から線を飛び出させる線の解放なのかもしれない。心なしか人体解剖図のように見えたりもするあたり、一筋縄ではいかない気配が伺え、全貌が見られる日を待ちたい。


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