| EN |

井上信也:5、6の事
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 3月 26日

画像提供:ヒロミヨシイ copy right(c) Shinya INOUE

井上信也は、精緻な視点の先で展開される絵画と映像の表現方法を媒介にして、日常に独自の触感をつくりだす。近年の制作の中心であるペインティングシリーズ「knitted」では、レースのカーテンの編み目のような細やかな模様が一筆書きによって描かれる。丁寧な筆致によって浮かび上がる編み目のような、紋様のようなそれは、微細な日常を見つめる観察者だけが持つ特異なパースペクティブを視覚化していた。さらに彼のもう一つの重要な仕事である映像作品においても、絵画同様に、日常を変容するきっかけとしてのある視線が提示される。例えば、甲虫の背に写る光やボールペンの先端などのミクロな事象に彼の目は向けられ、美しい世界の断片がそこにある事を、ただ我々に提示する。 hiromiyoshiiでの初個展となる本展「5、6の事」では、それぞれが井上の表と裏である絵画作品と映像作品がひとつの空間のもとに展示される。2つの表現を用いて提示される冷徹で儚い視点。それは日常の深奥に潜む美しさを抽出し、我々の住む世界の屈折率を鮮明にあらわすことになる。万象を注視する観察者であり、なおかつ日常における積極的な当事者でもある彼が提示する美しき視線に、是非ご期待下さい。 井上信也
1985年、岐阜生まれ。主な展覧会にG-Tokyo「3秒3分3日3人」(東京)、ヒロミヨシイ「Truth – 貧しき時代のアート」(東京)など。 ※全文提供: ヒロミヨシイ

最終更新 2010年 4月 03日
 

関連情報


| EN |