| EN |

ネイチャー・センス
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 3月 15日

吉岡徳仁、篠田太郎、栗林隆 日本の自然知覚力を再考する


吉岡徳仁《スノー》2010(1997 ~) 画像提供:森美術館

日本の文化や芸術と自然はつねに近しい関係にありました。もともと日本でいう「自然」とは、19 世紀末に「Nature」の訳語として使われたものであり、本来は、森羅万象、天地万物など人間を含むすべての創造物を意味していました。その自然観は、宇宙の神秘や自然現象、四季の変化などを体感的、感覚的に捉え、またアニミズム的な宗教観とも融合して独自の文化や芸術を育んできたといえるでしょう。伝統的な絵画だけでなく、建築、造園、伝統芸能まで、そして戦後の美術ではもの派やその流れを汲む世代まで、自然と人工物や人間の関係性、自然の抽象化、森羅万象を意識した空間構成などを振り返ることは、地球環境が激しく変化する現代において、未来への洞察を与えてくれるものでもあります。

「ネイチャー・センス展」では、日本の自然観に改めて注目し、現代を生きる日本人の感性や文化的記憶と「自然」の関係性を、現代アートやデザインを通して考えます。展示では、国際的に活躍する日本のクリエイター吉岡徳仁、アーティストの篠田太郎、栗林隆の3 名が参加し、新作インスタレーションを試みます。彼らはいずれも、自然現象や人間と自然の関係性をその表現に採用していますが、自然をある意味で抽象化する彼らの手法は、より感覚的に自然を捉えて来た日本の文化を彷彿させます。また、空間を大胆に使ったインスタレーションは、鑑賞者にとっても作品を体感として経験する機会となり、それが感覚的に自然を知覚してきた日本人の伝統的な感性を喚起します。この感覚をここでは「ネイチャー・センス」と題し、日本の自然知覚力を再考します。それはまた、美術における日本や東アジアの文化的固有性の再考にも繋がり、「日本を再定義する」ためのひとつの視点を提示してくれることでしょう。

※全文提供: 森美術館


会期: 2010年7月24日-2010年11月7日
会場: 森美術館

最終更新 2010年 7月 24日
 

関連情報


| EN |