| EN |

宋知宣:透ける陶土紐の空間
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 3月 05日

《Untitled》2009年|w30×D30×h12cm 画像提供:INAXガレリアセラミカ copy right(c) SONG JI SUN

紐状の陶でぐるぐると包まれた、くしゃりとゆがんだフォルムをもつグレーのオブジェ。紐と紐のすきまからは、中が空っぽに透けて見えて、秋の朽ちはじめた落ち葉で包んだ不思議な動物の巣のようにも思えてきます。 竹でつくったかごや、カルシウムがなくなって透いてきた骨なども連想させる作品「Untitled」は、そのとおり、名前がないことで観るものの自由な想像力にゆだねられています。 制作方法は、ビニールのビーチボールに紐を巻きつけ、泥しょうをつけて高温で焼成してつくります。焼け残ったかたちは、もともと丸かったものが土の重みで崩れた偶然によるものです。 韓国のソウルで生まれた宋知宣は、2005 年に来日し、現在は京都市立芸術大学で制作を続けています。幼いころから美術の才能を認められていましたが、絵を描くよりも何かつくることをやりたいと強く思うようになり、陶芸を選びました。クリスチャンであることから生じた、土からはじまり土へかえるのだという特別な感情も創造の背景にあるといいます。 日本に来てからは、やきものの持つ、重くて硬いイメージを変えたいと、発泡スチロールや新聞紙、石炭、木、糸など日常にあるさまざまな素材を窯に入れて作品をつくってきました。もとの素材が消え去ったときに残った土は、軽やかに、思いがけない表情を見せています。東京では初の個展となります。 宋知宣プロフィール
1978 韓国ソウル生まれ
2000 国立ソウル産業大学校陶芸科卒業
2002 同大学産業大学院陶芸専攻修了
2006 東京新宿KCP 日本語学校修了
2007 京都市立芸術大学研究生過程
2010 同大学大学院美術研究科陶磁器専攻修了 個展:
2001 日常展(ソウル産業大学仏岩ギャラリー/韓国)
2009 土の雨展(BAMI ギャラリー/京都) ※全文提供: INAXガレリアセラミカ

最終更新 2010年 3月 05日
 

関連情報


| EN |