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菅原布寿史:EXODUS 山水
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 2月 18日

画像提供:Project NoA copy right(c) Futoshi SUGAHARA

かつての旅の中で、古代遺跡など国内外の文化遺産に出会ったときに作家を驚かせたのは、遥か彼方に理想郷を求めたり、死後の世界での再生と幸福を願うなど、人類がいかに不確かで無意味とすらいえるようなことに、膨大な時間とエネルギーを費やしてきたかということでした。ところがその後、狭心症の発作を契機に彼岸世界に思いを馳せる人類特有の精神活動が、自身にとっても切実な問題と感じるようになります。そこで作家がとらわれた生死をめぐる観念は、生存不能な状況下に仮眠カプセルや棺に入るか、または、蛹や繭、種子のようなかたちをとって仮死状態となり、来るべき時と場所を待って再生しようというものでした。 本展では、個人もしくは人類の彼岸世界への想いをテーマに、山水庭園、古代遺跡、SFなど過去・現在・未来の重層的イメージがインスタレーションとして展開します。そこにはまた、窓からの採光による昼間から、照明と映像による夜間の展示へと会場内が徐々に変容する仕掛けが施され、個人や社会をとりまく閉塞状況における死と再生の過程も暗示されます。 昼(生)と夜(死)が均衡になるこの季節、会場で皆さんの想いを投影させてみては如何でしょうか? 菅原 布寿史 Futoshi SUGAHARA
1962年京都生まれ。京都市立芸術大学大学院絵画専攻日本画修了後、アジア各地の遺跡を巡る旅で出会った美術をサンプルにして解体・再構成した平面・立体作品やインスタレーションの制作をはじめる。シリーズ作品には、シルクロードの仏教壁画をもとにした「菩薩シリーズ」や、国宝源氏物語絵巻による「迷宮シリーズ」等がある。本展では、「菩薩シリーズ」の彫刻(約4.8m)が中心となる。
作家HP:http://sugaft.com ※全文提供: Project NoA

最終更新 2010年 3月 16日
 

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