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宇宙民藝
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 2月 06日

古川きくみ《Gemini》2009 年|画像提供:AAS (Antenna Art Space) copy right(c) Kikumi FURUKAWA

佐倉密《かぐやと宇宙郎(大人)》2009 年 画像提供:AAS (Antenna Art Space) copy right(c) Mitsu SAKURA

このたびAASでは、外詩作家の佐倉密とAntennaの古川きくみによる企画展覧会『宇宙民藝』を開催いたします。

佐倉密は現代美術のコレクターであり、詩と視覚による詩的オブジェ「外詩」を試みる外詩作家でもあります。作品をコレクションするのみでなく、自らも様々な分野の作家とコラボレーションしながら作品発表を続けており、カテゴライズされることのない詩的でユーモラスな作品の数々を生み出してきました。

古川きくみは現在、京都市立芸術大学大学院博士(後期)課程に在籍しており、環境デザインの領域において、建築を含めた美術を取り巻く環境空間について研究しています。また、Antennaのメンバーとしても作家活動を行っており、近年ではエキシビジョンデザインも手がけるなど、その活動の幅を広げつつあります。

本展は、多種多様な作品を展開する約20名の若手アーティストによって制作された掌ほどの大きさの作品によって構成されます。佐倉の紡ぎ出した『宇宙民藝』という言葉をテーマに、作家達はささやかな宇宙観を創出し、古川によってAASの空間に散りばめられます。それらは観賞者それぞれの心に広がる小宇宙を巡る旅へと導い てくれることでしょう。

わたしは、コレクター佐倉密さんの依頼で、佐倉さんのコレクションである宇宙民藝品を収蔵・展示するスペース宇宙民藝館を設計しました。ところが、預かっていた品々が盗難に遭い、そのすべてを失ってしまったのです。わたしは佐倉さんに謝罪し、若手アーティストによる宇宙民藝品の再現を提案しました。現代アートもコレクションの対象とする佐倉さんは、それをゆるしてくれました…。さて、本展覧会でみなさんにご覧いただく作品は、出来立てほやほやの著作物ですが、しだいに時に溶かされて、しかし消滅することなく、贋物がいつしか本物の民藝品になるなんてことはないかしら?
-古川きくみ

出品作家
Akashic Universe、旭藍子、AWAYA、Antenna、市村恵介、糸川知佐、おかひろし、神山飛鳥、鬼頭祈、小鐡裕子、小林真依、鈴木宏樹、田中英行、谷澤紗和子、つつみ千寿、寺田就子、福森創、森川阿沙子、矢津吉隆、山下耕平、山本祐理子

佐倉密(さくら・みつ)
外詩作家。1967 年生まれ。2003 年より時間をテーマに詩的オブジェの制作を続ける。
主な展覧会:
2003 年「宥密法」豊田市美術館、愛知、「佐倉密初個展」ギャラリー16、京都
2004 年「松澤宥と九つの柱 九相の未来-パーリー・ニルヴァーナに向かって」広島市現代美術館、広島
2005 年「言ノ葉ノかげ、二人の詩人の二つの美術-篠原資明+佐倉密」京都芸術センター、京都、「密、砂、織」ギャラリー16、京都
2007 年「宇宙御絵図」豊田市美術館、愛知
2008 年「常若アンビルド」中京大学アートギャラリー C・スクエア、愛知、「かぐやのために」名古屋大学教養教育院プロジェクトギャラリー clas、愛知
2009 年「かぐやのためにⅡ」ギャラリー 16、京都

古川きくみ(ふるかわ・きくみ)
1984 年愛知県生まれ。2007 年ミラノ工科大学交換留学。2009 年京都市立芸術大学大学院修士課程修了。現在は同大学大学院博士 (後期) 課程に在籍。専門は環境デザインで、アートを中心とした建築空間を主な研究対象とする。また、2006 年よりアーティストグループAntenna のメンバーとして活動。国内外で現代アートを制作・発表している。京都在住。
主な展覧会:
2007 年「2006 年度京都市立芸術大学作品展」環境デザイン専攻 市長賞
2009 年「2008 年度京都市立芸術大学作品展」環境デザイン専攻 大学院市長賞(作品買い上げ)
2009 年「かぐやのためにⅡ」ギャラリー 16、京都

会期:2010年4月10日(土)~ 4月25日(日)11:00~19:00
※ 開館日 会期中の土日のみ( 4/10, 11, 17, 18, 24, 25 )
土日以外は要予約 → このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください へメールでお問い合わせ下さい。

※全文提供: AAS (Antenna Art Space)

最終更新 2010年 4月 10日
 

編集部ノート    執筆:平田剛志


折しも山崎直子宇宙飛行士がディスカバリー号で宇宙へと旅立っている今日この頃、京都では「宇宙民藝」展が開催されている。「宇宙民藝」とは外詩作家・佐倉密氏の収集品である。当初は宇宙民藝品を展示する宇宙民藝館を建設するため準備が進められていたが、その宇宙民藝品が盗まれてしまったのだという。そこで、現代アーティストによって宇宙民藝品を再現したのが本展である。
ほとんどの人が見たことのない宇宙民藝品がどのようなものか、私たちは想像するしかない。だが、ここには宇宙民藝という難テーマに挑んだ現代作家たちの応答が予想外の作品を生みだし、「アート」とも「民藝」とも異なる「宇宙民藝」を見ることができるだろう。
しかし、宇宙人から見たら地球人が作るものは「民藝品」のようなものかもしれない。いや待て、この国は「宇宙人」が総理大臣の国なのだから、すでに私たちの身の回りは「宇宙民藝」に溢れているのかもしれない。


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